「連載中の時代小説をイメージして 水色の銘仙に唐船の帯を合わせました。」作家・永井紗耶子さんの着物の時間。
「2010年に『絡操(からく)り心中』でデビューしたのですが、その出版会の際、時代小説家として公の場に出るからには着物しかないと思って。緊張していましたが、着物を着たらシャンとして、自信を持って挨拶ができました。着物が背中を押してくれた。さらに気持ちが切り替えられるところも魅力のひとつ。背筋を伸ばして、丹田に力を込め、さあ行くぞ、みたいな気持ちになるのも着物効果ですね。着物好きだった祖母や知人たちから譲られた着物を箪笥の肥やしにせずに、私なりの組み合わせで着こなしたいと思っています」
永井紗耶子 さん ながい・さやこ 作家 神奈川県横浜市出身。慶應義塾大学文学部卒業。新聞記者を経てフリーランスライターとして新聞、雑誌などで活躍。2023年『木挽町のあだ討ち』(新潮社)で第169回直木賞、第36回山本周五郎賞を受賞。最新刊は『きらん風月』(講談社)。
撮影・青木和義 ヘア&メイク・長網志津子 着付け・小田桐はるみ 文・大澤はつ江 撮影協力・三聖山 慧然寺
『クロワッサン』1124号より
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