32歳の誕生日、彼氏にフラれた年収400万円の女性「独身を謳歌してやる!」…決意から11年後「ひとりで生きていける」と確信した理由【FPが解説】
「NISA」「iDeCo」利用でよりおトクに
2014年、Aさんが投資信託を始めて2年ほど経ったころ、「NISA制度」が始まりました。 通常、株式投資や投資信託の場合、利益には約20%の税金がかかります。一方、「NISA口座(非課税口座)」で一定額の範囲内で株式投資や投資信託を行うと(=金融商品を購入すると)、その利益が非課税になる仕組みが「NISA」です。 Aさんは、先述した投資信託を2014年からNISA口座での運用に変更し、さらに2018年からは「つみたてNISA」が始まったため、つみたてNISA口座での運用に変更。こうすることで、非課税のメリットを享受しています。 さらに、2024年1月からは新NISA制度がスタートします。非課税枠が拡大し、非課税期間が恒久化(無制限)されるなどメリットも多いため、調べたうえで利用してみることをおすすめします。 老後資金の準備には「iDeCo」が最強! 2016年の法改正をきっかけに、メディア等で「iDeCo(個人型確定拠出年金)」のPRが活発化してきました。資産運用を始めて4年が経ち、少しずつ余裕が出てきたAさんは、iDeCoも始めることにしました。 「iDeCo」とは、自分が拠出した掛金を自分で運用し、資産を形成する年金制度です。掛金全額が所得控除の対象となり、所得税と住民税が軽減されます。 掛金は自身で運用先を決めることもでき、運用益にも税金がかからないなど多くのメリットがあります。ただし、60歳以降でないと引き出せないといったデメリットもあるため、拠出金額などには注意が必要です。 36歳からiDeCoを始めたAさん。年収は30万円アップし、430万円となっていました。仮に65歳まで毎月1万円iDeCoに拠出した場合の税額軽減効果は以下のとおりです。
資産運用開始から11年…現在の状況は?
32歳で投資信託を始めてから11年、Aさんは43歳になりました。運用資産の状況はどのように変化したのでしょうか。 【日経225】 積立金額:毎月5,000円 積立元本:66万円 評価額:126.1万円(+60万円、増加率191%) 平均利回り:16.72% 【S&P500】 積立金額:毎月10,000円 積立元本:132万円 評価額:309万円(+177万円、増加率234%) 平均利回り:17.88% 上記の日経225とS&P500を合わせて、投資信託は 積立額:198万円 評価額:435万円 平均利回り:12.9% と、この11年で2倍以上になりました。また、7年前から始めたiDeCoも、 積立額:84万円 評価額:116万円 平均利回り:8.8% と、1.38倍になっています。 この期間、運用が好調に推移したということもありますが、コロナショックなど経済危機もありました。資産運用をまったくしなかった場合に比べ200万円以上プラスです。 年収が順調に増えていることもあり、このプラスとなったお金を使って、Aさんは投資信託の積立額1万5,000円を今年から1万円増やし2万5,000円にすることにしました。 “長期・分散・積立投資”ですから、このまま長期間実施することで損失リスクを軽減でき、運用を安定化し、運用効果利益を伸ばすことができるといわれています。Aさんが継続して投資すると、65歳のときには下記のような結果になります。 【投資信託※】 積立元本:1,095万円 評価額:3,170万円 運用益:+2,075万円 ※ 今年から積立額を1万円増やし、65歳まで毎月2.5万円積立。平均利回り6.5%の場合 【iDeCo※】 積立元本:380万円 評価額:814万円 運用益:+434万円 ※ 65歳まで毎月1万円積立。平均利回り5%の場合 このまま続けていけば65歳時点で投資信託とiDeCoを合わせて約4,000万円(3,170万円+814万円)、現預金や退職金を合わせると5,000万円以上の老後資金が準備できる見通しです。 重要なのはタイミングではなく“時間”…まず「はじめの一歩」を Aさんは、「先取貯蓄を始めたことで、“節約しなければ”とストレスを感じることもなく、老後への漠然とした不安を解消することができた」と言います。 投資の格言に「Time, not timing」というものがあります。これは、「いつ始めるかタイミングを迷うよりも、早い時期に投資を始めて長い時間実施することが大事」という意味です。 「資産運用に興味はあるもののわからないことが多く不安」「いつ始めればいいのかわからない」という人も多いのではないでしょうか。考えることも大事ですが、まずは一歩行動を起こしてみることが大切です。 もしひとりで始めることに不安が大きい場合は、セミナーや個別相談に申し込むなど、専門家の力を活用することもおすすめです。 久保 雅巳 FP Office株式会社 ファイナンシャルプランナー