NJC、東京大学 食料・資源経済学研究室などと卸売市場取引のDXに関する共同研究
日本事務器(NJC)は、東京大学大学院 農学生命科学研究科食料・資源経済学研究室(東京大学 食料・資源経済学研究室)、および沼津中央青果と、卸売市場取引のDXに関する共同研究を9月に開始した。 近年、国内では「農業生産者の減少」や「市場規模の縮小」といった変化にともなう構造的な問題が顕在化し、食産業の持続可能性が社会的な課題となっている。これらの課題を解決するためには、卸売市場における価格形成プロセスの改善や、サプライチェーン全体の需給バランスの維持が不可欠となる。 東京大学 食料・資源経済学研究室は、近代経済学の理論と統計学の手法を基盤に、国内外の農業・食料問題から環境・資源問題に至るまで、幅広い研究と教育を行っている。これまでにも、食料・農業・農村政策のデザインや、フードシステムの地域経済への影響評価、消費者の食品購買と栄養摂取状況など、実践的で多岐にわたる知見を蓄積しており、学術界や政策立案者から高い評価を受けている。 一方、NJCは、農家と市場・青果流通事業者を情報でつなぐ業務改善アプリ「fudoloop(フードループ)」を通じ、国内の生産者や卸売業者との強固なネットワークを築き、食の安定供給を支援してきた。fudoloopは電話やFaxに代わり生産者からの出荷予定情報やメッセージをスマホで集約し、データとして蓄積・活用することを可能にするデジタルプラットフォーム。これにより、青果物流通のデジタル化と価格安定、業務効率化に成功した実績がある。 今回の共同研究では、fudoloopを導入し、青果物流通のデジタル化と農作物の価格安定や業務効率化を実現した沼津中央青果の実績を基に、東京大学 食料・資源経済学研究室の研究力とNJCのノウハウによって、卸売市場取引のDXに関する研究の進展を目指す。研究期間は9月1日から26年3月31日まで。 NJCは、この研究を通して、農作物が供給側と需要側の双方にとって適正な価格で取引されるシステムを普及させ、食産業の持続可能性を高めることを目指す。今後は、出荷情報のデジタル化が物流問題の解決に寄与することも実証し、青果物流通のDXの推進を通じて、生産者や卸売業者の経営基盤の強化や、新たなビジネスモデルの創出を支援していく考え。