いびきをしなくなったら危険信号!?…高血圧になり、糖尿病のリスクも。筋トレのしすぎは気道を狭くする
金を使うならカラダに使え。老化のリスクを圧倒的に下げる知識・習慣・考え方 #1
パートナーや家族にとっては迷惑ないびきだが、いびきをかいているくらいなら大きな問題ではないという。とはいえ睡眠時無呼吸症候群につながる場合は、気をつけたほうがよいそうだ。長年、睡眠時無呼吸症候群の治療に力を入れている田中俊一医師に話を聞いた。 【写真】睡眠時無呼吸症候群に使われるあの装置 書籍『金を使うならカラダに使え。老化のリスクを圧倒的に下げる知識・習慣・考え方』より一部抜粋・再構成し、いびき、そしてその先に潜むリスクについて解説する。
いびきが出る3大要因は骨格・肥満・加齢
いびきはなぜ出るのか? それは「管楽器と同じような原理」だと田中医師。 「クラリネットなどの管楽器は、吹き込んだ空気の圧力でリードという薄片が振動して音が出る仕組み。鼻や口から吸い込んだ空気は気道を通りますが、気道が狭くなっていると大きな圧力がかかるため、のどが振動して音が出ます」(田中医師) 気道が狭くなる原因は3つある。 (1)骨格。特に日本人は首が細く、顎の小さい人が多く、もともと気道が狭い傾向がある。 (2)肥満。顔や首周りについた脂肪が、仰向けに寝る姿勢の時に垂れ下がって気道を圧迫するため。 (3)加齢。組織のハリが低下するため、首周りの脂肪や舌などが気道に沈み込むようになる。(1)(2)のタイプも、(3)の加齢要因が加わると悪化しやすい。 また、飲酒は筋肉を弛緩させるのでいびきが出やすくなるし、意外なところでは、筋肉量の増加も気道を狭くする。田中医師によると、筋肉の増量が重要なラグビー、相撲、ボディビルなどは首も太くするので、空気が通りにくくなる傾向があるそうだ。そして、口呼吸もいびきを悪化させる。 「花粉症や副鼻腔炎などで鼻詰まりがある場合は、口呼吸をせざるを得なくなりますね。口呼吸をすると口が開くことで舌が落ち込み、気道が狭くなるため、さらにいびきが出やすくなります」(田中医師)
いびきをしなくなったら危険信号
「それでも、いびきが出ているうちはまだいい」と田中医師は言う。 「患者さんは家族から『いびきがうるさい』と言われて受診しますが、いびきは睡眠中に息が通っている状態。息が止まってしまうと、いびきは出ません。無呼吸状態がひどくなると1分間に1回しか息をしなくなります。1回息をしたら60秒間は息が止まる、そんな状態は重症なのに、うるさくないから、一緒に寝ている人も気づかないんです」(田中医師) いびきに対するクレームがなくなったら「治った、良かった」と思うだろうが、むしろ睡眠時無呼吸症候群へと悪化している可能性が高い。無呼吸状態になりしばしば息が止まるようになると、取り込む酸素が少なくなり、動脈血中の酸素が不足した状態になる。 すると、苦しくてうなされて目が覚めたり、悪夢を見たりするようになり、その段階で「無呼吸かもしれない」と気づき、受診する人も多いそうだ。