<センバツ>均衡破る先制打 東邦の成沢「打てて良かった」
◇第91回選抜高校野球準々決勝 ○東邦7-2筑陽学園●(31日・甲子園) 低いライナーがジャンプした二塁手のグラブのわずかに上を通り過ぎ、右中間の芝生ではずんだ。東邦の8番・成沢が先制打を放ち、均衡を破った。 【タイムリーを浴び帽子に手をやる筑陽学園の先発・西】 四回1死一、二塁。筑陽学園の先発右腕・西の変化球を狙っていたが「体が反応した」。1―1から外角低めの132キロ直球を押っつけた。右中間への2点適時二塁打。捕手として投手陣を支える3年生は「打てて気持ちが良かった」と二塁ベース上で破顔した。 1、2回戦で計25安打を放ったチームにあって、成沢は先発メンバーでは唯一の無安打。森田監督から「タイミングがあっていない」と指摘され、2回戦から左足を上げる打撃フォームからすり足に転換。2回戦は無安打だったが、捉えた当たりもあり「感触は良い」と手応えを感じていた。 森田監督が「成沢のヒットでチームが勢いに乗れた」とたたえたように、六回には9番・山田、1番・松井の連続適時二塁打など6長短打を集めて5点を追加。3投手の継投で1、2回戦で2点ずつしか失っていない筑陽学園を強力打線で圧倒した。 2回戦で本塁打を放った3番のエース・石川ばかりが注目されるが、下位にも力があると示した。森田監督が「優勝しか考えていない」と口にする力は十分にある。【石川裕士】