初Vから歴代3位の年間8勝 女子プロゴルフを席巻、21歳・竹田の飛躍の理由【連載・破竹の新女王㊤】
まさに破竹の快進撃だった。女子ゴルフでプロ3年目、それまで未勝利だった竹田麗央(国府高出)が今季、ポイントランキングで初の「年間女王」に上り詰めた。ポイント数は過去最高で、年間獲得賞金も歴代1位。年間8勝は歴代3位と記録ずくめの一年となった。国内女子ツアーを席巻した21歳の飛躍を振り返る。(萩原亮平) 熊本のスポーツ
「あの勝利で自信がついた。勝ち方が分かった」-。今季の国内最終戦を控えた20日の記者会見で、竹田はそう明かした。「あの」とは、地元で悲願の初優勝を飾った4月のKKT杯バンテリンレディス(熊本空港CC)のことだ。初日に41位と出遅れながらも最終日に首位との3打差をひっくり返した。 象徴的だったのが、2日目の猛チャージ。「初日は(ショットが)オーバー気味だったので、少し抑えた」。微妙な距離感を修正して次々にチャンスをつくり、8バーディー、2ボギーの66。自身が高校3年時にマークしたコースレコードタイの65に迫る勢いだった。 精神面の成長もあった。以前は「勝ちたい」気持ちが先に立ち、ラウンド途中でリーダーボードを確認していたが、この大会からその癖を封印。「他人のプレーを見ず、自分の順位も気にしなかった」と目の前の1打に集中することに徹した。 初優勝で自信を手にして、一気に波に乗る。翌週のフジサンケイ・レディースは初日から首位を譲らない完全優勝。9月にはソニー日本女子プロ選手権、日本女子オープン選手権と国内四大大会2連勝を達成した。
日本開催の米ツアー、TOTOジャパンクラシック(10月)では、プロで初めてプレーオフを経験。「最後まで集中力を切らさずにプレーしよう」と6ホールに及んだ日没間際の激闘を制し、来季の米ツアー切符を獲得した。 今季8勝のうち、最終日での逆転が5勝。最終日の平均ストローク「69・1111」は堂々の国内トップ。予選で感じたプレーの違和感をきっちり修正する力と、プレッシャーのかかる最終日の優勝争いで動じないメンタルの強さが数字にも表れた。出場32試合のうち、トップ10入り回数は23回で1位。安定感も抜群だったことが分かる。 自身の急成長ぶりに竹田は「シーズン当初は、四大大会や米ツアーのTOTOで勝てるなんて想像もしていなかった」と目を丸くする。日本女子プロゴルフ協会の小林浩美会長は「昨年まで終盤に崩れるイメージがあったが、ピンチでパーを拾える粘り強さが身に付いた。ドライバーの飛距離もあるし、世界で勝負ができる」と来季は米ツアーを主戦場とするホープに期待を寄せた。