茨城で自家用車による乗客の有償輸送の実証実験 つくばなど4市が運営主体 来年1月から
茨城県のつくば、土浦、牛久、下妻の4市は、一般ドライバーが自家用車などを使い有償で客を運ぶ実証実験を来年1月から実施する。システムは4市が共同で構築する。一般ドライバーが自家用車を運転し、有償で客を運ぶ「日本版ライドシェア」はタクシー会社が運営主体となるが、実証実験では4市がそれぞれ運営主体となる。つくば市によると、自治体が連携しての取り組みは県内で初という。 ■運転手不足が深刻化 ドライバーの残業規制強化に伴って人手不足となる「2024年問題」が深刻化していることなどから、つくば市が中心となり3市に呼びかけた。実証実験を行うエリアや時間帯、料金などは各市がそれぞれ決める。事業は国の「デジタル田園都市国家構想交付金」を活用。令和6年度は4市で3億3500万円を計上する。実証実験は3年間行う。 つくば市は「自家用有償旅客輸送」の名称で筑波山地域と南部の住宅団地、桜ニュータウンの2地区で実施する。 筑波山地域ではTXつくば駅から筑波山神社やロープウエーの乗り場、駐車場があるつつじケ丘を往復するシャトルバスがある。だが、最終便は午後5時ごろと早い。実証実験では、最終便に間に合わなかった観光客などを山麓のバス停「筑波山口」まで送ることを想定している。 桜ニュータウンはかつて路線バスが走っていたが昨年1月に廃止。実証実験では廃止されたバスに変わってTXつくば駅までの輸送を検討している。 ■4市共同で運転手を登録 運行にあたっては、4市が共同で「ドライバーバンク」を創設。4市で76人のドライバーの登録を想定しており、これと連動した配車アプリを作成し、利用客とドライバーをマッチングさせる。運転手は今年秋から募集するという。 車両はつくば市では乗用車、下妻市では小型バスを想定するなど自治体の事情によって変わる。ドライバーの健康管理や車両の整備などはタクシー会社などに委託する。 今後は近隣の市をまたがった運行なども検討されており、土浦市の安藤真理子市長は「自分の市で公共交通を走らせているが、どうしても隣の市との境目は課題になる。今回、国の交付金を使って課題解決に一歩進むことができると思う。(プロの)ドライバー不足の解消にもつながると期待している」と話す。(篠崎理)