磐越東線、もっとアピール 福島・田村JC、沿線景観や観光名所発信
アピール不足から脱却だー。JR東日本が公表する赤字路線の一つであるJR磐越東線を盛り上げようという動きが沿線で活発化している。田村青年会議所(JC)は本年度、沿線自治体と意見交換会を開くなど官民一体で魅力を発信する方向性を探った。来年度はその取り組みを加速し、活動の輪をさらに広げる。 郡山駅(郡山市)からいわき駅(いわき市)までを結ぶ磐越東線は、沿線に三春滝桜(三春町)やあぶくま洞(田村市)、夏井千本桜(小野町)といった観光名所があり、のどかな田園風景や渓谷など車窓から豊かな自然が広がる。しかし、利用者の大半は通勤・通学などで年間を通して利用者が減少しているのが現状だ。 田村JC第43代理事長の石井聡一さん(40)は「磐越東線を単なる交通インフラではなく地域活性化のためのツールと考える。一人一人が磐越東線をいかに活用するかが重要」と話す。同JCは9月に田村、三春、小野3市町の行政職員を交えた意見交換会を主催した。只見線などと比較してメディアへの露出や観光客を引き付ける情報発信が少ないなど課題を共有し、団体と自治体とが認知度向上へ意識を高める機会となった。来年度は沿線の美しい景観や観光名所をアピールする事業を計画しており、他地域のJCも巻き込み、磐越東線の観光利用をPRする考えだ。 同JCは約40年前に国鉄常務理事を招待し、交通問題を考えるシンポジウムを開くなど路線存続に取り組んできた歴史がある。石井さんは「先輩方は廃線の危機をただ傍観するのではなく、行動し、地域を巻き込んで苦境を打開してきた。将来のあるべき姿を議論し、行動していきたい」と力を込める。
福島民友新聞