山崎監督が相手でも勝手に直す 「ゴジラ-1.0」の海を作った25歳のクリエイター【WBS NEXT】
VFXの制作現場は東京・調布市にあります。洒落た一軒家のような建物を進むとあったのが、山崎監督も所属するVFX制作会社「白組」のスタジオです。 あの海の映像はどのように作られたのでしょうか。 まず山崎監督の絵コンテから、簡易的なCGを作成します。実写では船をゴジラに見立てて撮影。ゴジラと周りの海をCGで作り、実写の映像と合成します。 山崎監督が一目置くZ世代のクリエイターがいます。「白組」VFXデザイナーの野島達司さん(25)です。野島さんは海を舞台にした印象的なシーンを手がけました。動きが複雑な海をCGで再現するのは、高度な技術が必要なのだと言います。 「こういう点がいっぱいあり、ここだけで2900万個ある」(野島さん) 実は今回、海のシーンを多用するきっかけとなったのが野島さんでした。 「(野島さんが)趣味で水のシミュレーションをやっていて、それを見せてもらった。それが抜群だったので、こんな人がいるのだったら、水をいっぱい入れようと思って逆に水のシーンを増やした」(山崎監督)
監督の目に留まったというのがこちらの映像です。 小学生のときから動画を撮影しては編集して遊んでいたという野島さん。学生時代に作った作品がSNSで白組の目に留まりスカウトされました。野島さんをスカウトした白組の大久保榮真さんは「本当にすごいと思う。全然言うことを聞かないので。信念を持ってクオリティーだと言い続けるのは大事」と話します。 山崎監督のもとでは野島さん以外にも、若いクリエイターがベテランと切磋琢磨しながら活躍しています。 「野島さんは誰よりも監督に提案を忌憚なくするとのことですが」(田中瞳キャスター) 「提案というと優しい言い方ですごいブーブー言う」(野島さん) 「『このカットは良くないので直させてもらっていいですか』とか」(山崎監督) 「勝手に直しました」(野島さん) 「一番言うやつです。勝手に直して見せて『どうですか?』と。ぐうの音も出ない」(山崎監督) 「監督はそれをどう受け入れるんですか」(田中キャスター) 「いいに越したことない。自分のプライドを抑えて(笑)」(山崎監督) 「挑戦しないことには、全然スキルも上がらない。CGが気にならないようにしたい。クオリティー低いとか、予算がなかったのかなと思ってほしくない。世界の人に見てもらわなくてはいけないので」(野島さん) 「誰でも意見を言えるような現場にするのが自分の中ではテーマ。だって、いいに越したことはない」(山崎監督) 「それが山崎さんはすごい」(野島さん) 「普通だよ、普通」(山崎監督) 「普通じゃあり得ない」(野島さん) 野島さんによればこれだけの映像技術があっても日本は海外に比べて20年は遅れているといいます。ハリウッドの映像と自分のモニターを並べて作業もしているといい、生涯かけてこの日本のVFX業界のレベルを上げることを目標に掲げていました。 ※ワールドビジネスサテライト