リスキリングとは違う? アップスキリングとは
「アップスキリング」とは、すでに保有している知識・スキルを更新したり、強化したりするプロセスのこと。文字通り「スキルをアップ」させるという意味です。近年注目を集めている「リスキリング」は新しいスキルを身につけることを指しますが、アップスキリングは、既存のスキルを向上させます。 例えば、事務員がプログラミングを学ぶのはリスキリングで、ITエンジニアが別のプログラミング言語を学ぶのはアップスキリングです。アップスキリングによって、組織には生産性向上や競争優位性、労働者にはキャリアアップやモチベーションの向上が期待されます。
20年後、日本人の約半数の仕事は AIに取って代わられる!?
次の職業のうち、知っている職業はありますか? タイピスト、声色師、ボードビリアン、ミシン販売員、絹織物買継人、預貯金集金人。 これらは、国勢調査から消えた「平成の職業」です。大正大学地域構想研究所が、5年に1度行われる国勢調査での職業分類をもとに調査・発表したレポートによれば、都市の発展や技術革新、人々のライフスタイルの変化とともに、職業も変化してきました。 昨今は「多くの仕事がAIに置き換えられる」と言われています。野村総合研究所の2015年の発表によると、日本の労働人口の49%が、10~20年後に人工知能やロボットなどで代替可能になるとのこと。 たとえば、受付係・事務員・警備員・タクシー運転手・機械オペレーターなどは代替可能性が高く、アナウンサー・犬訓練士・カウンセラー・教員・保育士・理学療法士などは代替可能性が低いとされています。他者との協調・理解・説得・ネゴシエーション・サービス志向性が求められる職業はAIなどでの代替が難しい傾向にあり、特別な知識やスキルが求められない職業や、データの分析や秩序的・体系的操作が求められる職業は、AIなどで代替できる可能性が高いとされています。 これらの仕事が、10~20年後に消滅しているかは疑わしいものの、必要性が下がっていく可能性はあるでしょう。変化の激しい時代、個人が培ってきた知識・スキルを活用できる年数は短くなっており、これらを定期的にアップデートする「アップスキリング」が求められています。 従業員のアップスキリングを促すためには、キャリア開発の土台となる自律的なキャリア観をつくる必要があります。定期面談に「学びたいこと」「挑戦したいこと」などキャリアを考えさせる機会を組み込んだ上で、一人ひとりの志向に沿った支援を行うことが大切です。