Nothing But Thievesが語る日本のファンとの約束、マネスキンやレディオヘッド、堀米雄斗への敬意
最新作『Dead Club City』における挑戦
―金メダルと言えば、NBTの最新アルバム『Dead Club City』はバンド史上初の全英No.1に輝きました。あれから1年経ちますが、コンセプチュアルで野心的な作品が歓迎されたという意味でも、今回の全英No.1は大きな意味があったのでは? ドム:個人的に、それは僕らのゴールではないと思ってる。(チャートが)必ずしも実力を反映しているとは言えないだろ。UKだけじゃなく全世界で、すばらしいアルバムのほとんどはチャートにランクインしないことが多いし、むしろ表に出てこない。だから、その結果がアルバムのクオリティを証明しているとは必ずしも思っていないんだ。もちろん光栄なことだけど、それは僕らの目指すところではない。それよりも、正直に最大限のクオリティの曲を作っていくことが大事なんだ。そうだな。全英No.1の特典と言えば、イギリス以外の人たちに僕らの音楽を知ってもらうきっかけになったこと。それはすごく嬉しいよ。 ―サマソニでのライブで、初めてNBTに出会う人もいると思います。改めてどんなアルバムを作りたかったのか教えてもらえますか? ドム:『Dead Club City』は4年前から作り始めて、ちょうどパンデミックが収束した頃に出来上がった。アルバムごとに違うことにトライしようとしていて、そのアルバムでも今までやったことのない新しいことにチャレンジしたかった。3作目のアルバム(2020年発表の『Moral Panic』)のムードが気に入っていたのもあって初めは似たような曲を書いていたけど、結局やり直すことにしたんだ。それでコンセプトアルバムにしようと決めてからは、まったく違うマインドセットで、新鮮な気持ちで作曲できるようになった。収録曲は、コンセプトアルバムという形に縛られることなく、一曲ずつが自立している。つまり、善かれ悪しかれ『Dead Club City』のストーリーが分からなくたって曲は楽しめるってこと。そのバランスはすごく難しかったし、少し危険な綱渡りになった。今回は今までで一番レコーディングに時間をかけて、いつもの3倍、6カ月かかったんだ。振り返ると、貴重で楽しい経験だったと思う。僕らの初セルフプロデュースで、まさに自分たちで作りあげたアルバムなんだ。すごく誇りに思ってるし、今聴き返しても「満足の出来だ!」って胸を張って言える。 ―『Dead Club City』の収録曲で、現在ライブで演奏しながら特に手応えを感じている曲は? コナー:大体ロングセットで演奏する曲だから、今回のリストに入ってたか定かじゃないけど(サマソニでは未披露)、僕は「Do You Love Me Yet?」かな。ディスコチューンで、いいグルーヴがあるんだ。演奏すると楽しい気分になる。僕らの曲にしてはサウンドもムードも一味違っていて、いい気分転換になるんだよ。 ドム:僕は「Overcome」かな。僕らの曲って大体悲しいテイストで(笑)、これほどアップリフティングな曲ってあんまりないんだ。セットリストにバラエティを持たせるのにぴったりだね。終盤あたりに演奏することが多くて、みんなとの一体感が生まれる。何て言うか、つながりを感じられる。この曲を演奏すると、会場がいいエネルギーに包まれるんだ。 ジェームス:ドムが言ったとおり。最後のプッシュなんだ。セットのラストに演奏して、最後を締めくくるのにふさわしい曲なんだよ。 ―最新シングルであるディスコナンバー「Oh No :: He Said What?」を、『Dead Club City』デラックス・エディション(今年3月リリース)への収録に先駆け、今年1月に先行リリースしたのはなぜですか? コナー: この曲は『Dead Club City』のレコーディング中、それもレコーディングの早い段階でできたまったくの新曲なんだ。あのリフができた時、「これは最高にいい」って思った。何度もやり直して、レコーディングの過程でついに納得できたリフなんだ。強度のある曲だったから、アルバムに収録してシングルをリリースするか決めかねて、一旦は入れずに取っておくことにした。今思えばいい選択だった。デラックス・エディションにぴったりの曲だったからね。