【仮面ライダーヒロイン名鑑】『仮面ライダーW』山本ひかる「撮影で変顔をするたびに監督の笑い声が聞こえました」
――現場の雰囲気はどうだったんですか? 山本 すごく温かかったですよ。みんな仲がよかったですし。仮面ライダーWの二人......桐山漣さん、菅田将暉さんとは撮影終わりにラーメンを食べて帰ったり、長い空き時間に近くのゲーセンに行ったりしました。当時は桐山さんが24歳で菅田さんが16歳、私が18歳くらいだったので、みんなで子供のように遊んでいましたね。劇中では敵対していた園咲家の皆さんとも楽しくやっていました。 ――撮影で辛い思いをしたことは? 『仮面ライダー』の現場は、若手俳優が多いだけに指導が厳しくなることもあると聞きます。特に(カメラの画角を意識した)立ち位置は最初、ものすごく言われるとか。 山本 特にはないですね。私、立ち位置も完璧だったんですよ(笑)。一秒でも多く映りたい気持ちが強かった分、どんな場面でも隙間にスーっと入って行けて。もちろん自分では「ここはこう芝居しよう」などいろいろ考えて苦労した点もありましたけど、監督やカメラマンさんからはすごく優しくしていただいて、厳しくされた記憶はないです。 ――じゃあ泣いたなんてことはなかった? 山本 辛くて泣いたことはないけど、思い入れの強い作品なので、オールアップのときはやはり泣きました。まぁ全員、泣いていたけど。『仮面ライダーW』は一人一人のキャラが魅力的ですし、物語がとてもしっかり作られている。特撮ヒーローものといった枠組みをとって、ドラマとして見てもすべてが完璧な作品だなと思います。 ――ここ数年、東映のサイト「東映特撮ファンクラブ」では歴代女性キャストが出演するスピンオフ作品がありますが、鳴海亜樹子も2022年配信の『仮面ライダージャンヌ&仮面ライダーアギレラ withガールズリミックス』に登場しました。亜樹子はテンションが高く、コミカルで、変わらないままでしたね。 山本 多くの方にそう言っていただくんですけど、うれしいです。『仮面ライダーW』の放映終了から10年以上が経ち、大人になった亜樹子をどう演じたらいいか最初は迷いがあったんですよ。撮影前に監督ともお話して、子供がいる設定なのでちょっと落ち着いた雰囲気を出そうかという話もあったんですけど、当時を知っている人が見ても亜樹子だとすぐわかる姿を理想としたくて、変わらないまま演じました。結果的に皆さんに喜んでいただけて良かったなと思います。 ――『仮面ライダーW』は、歴代シリーズの中でも特に人気の高い作品。山本さんはいまも「鳴海亜樹子」のイメージで見られると思います。亜樹子ではなく、もっと山本ひかるとして、自分を見てほしいみたいな思いは? 山本 そんな思いまったくないです。だって、キャラクターを知って、愛してくれる人がいるわけですから、鳴海亜樹子として見ていただけるだけで十分、幸せですね。私にとって『仮面ライダーW』は女優人生で最高の作品のひとつ。"亜樹ちゃん"や"所長"と呼ばれると今も胸がワクワクするので、むしろ「はい、所長です!」って自分から言っちゃいます。 ――山本さんにとって、鳴海亜樹子とはどんな存在ですか? 山本 これから先、いや一生付き合っていく、もうひとりの自分ですね。10年、20年経つとルックス的にも難しいことも出てきますけど(笑)、なるべく当時の亜樹子でいられる状態を維持していきたいと思います。またいつ鳴海亜樹子を求められるかわからないので、いつでも出せるように。役者として、このキャラをずっとできる山本ひかるでありたいです! ●山本ひかる Hikaru YAMAMOTO1991年2月28日生まれ 大阪府出身 ◯『科捜研の女 season24』(テレビ朝日系)など同シリーズにレギュラー出演。女優業を続けながらプロ競技麻雀団体「RMU」所属のプロ雀士としても活躍中公式X【@yhikaru0228】公式Instagram【@hikaru0228yamamoto】 取材・文/釣本知子 撮影/荻原大志 ©石森プロ・東映