Media Briefing[日本版]: 2024年、メディアの マネタイズ における力点はどこになるのか?
繰り返し伝えることでもないが、2023年はメディアにとって手放しで喜べる年ではなかった。広告収益の落ち込み、人員削減の嵐、FacebookからGoogleに至るまで下がり続ける参照トラフィック。並ぶ言葉を見るだけで気が滅入りそうだ。 では、未来のことを考えるとしよう。10年後ではなく、差し当たって2024年に向けた計画だ。次年度のプランニングに着手するために、今年のメディア領域のニュースを振り返りつつ、米DIGIDAYの調査からパブリッシャーの収入源とその現状を把握しておこう。
1. 人員削減もしくは適正化
別に皮肉ではなく、成長がなければ(あるいは期待していたほどではなければ)コストを削減する必要がある。アメリカでは12月8日までにメディア業界で2万324件の人員削減が発表されており、これはコロナ禍で11月までに3万211件の人員削減が発表された2020年以来の数値だ。GoogleやMetaが2~3万人の人員削減と引き換えに今年10~20%の広告収益増を実現していることを考えると、突飛な話でもないかもしれない。 もちろん、プラットフォーマー各社の数分の1程度の規模であるパブリッシャーが人員削減をしたところで効果は知れている。では、人員削減ではなく、適正化とか効率化という観点で考えてみよう。より少ないコストでより多くのことができ、多くの成果を得ることができたなら、それはマネタイズの成功と見做せるだろう。より多くのオーディエンスに、より多くのコンテンツを届ける典型的なマスメディアモデルは、分散化と断片化が進むデジタルにおいて時代遅れのプレイブックになりつつある(ジェフ・ベゾスがワシントンポストになぜこれほど多くのスタッフが必要なのか、と疑問を呈したのはある種正しかったかも知れない)。 より少ないリソースで狭く深い領域にフォーカスし、そのカバー数をなるべく増やしていくというニッチメディアモデルは、特にAxiosやIndustry DiveといったB2Bメディアで見られる「成功(とされている)事例」だ。実際、Axiosは2023年年頭に、年末までのイベントスポンサーシップ収益目標額を1000万ドル(約14億5000万円)とし、その目標額を第3四半期で超えただけでなく、第4四半期末には年間イベント収益が前年比60%増を記録しているという。