原爆の日式典への小中高生派遣自治体に補助 広島市が新制度創設へ
広島市は6日、原爆の日の平和記念式典や前後の平和学習に小中高生を派遣する全国の自治体に対し、旅費を補助する制度を創設する方針を明らかにした。一人でも多くの若者に被爆地を訪れてもらい、被爆体験の継承につなげる狙い。被爆80年の2025年度に始める方向で関係機関と調整している。 市によると、計画では宿泊費を含む旅費を国と市、派遣自治体で負担する。式典への参列に加え、被爆者との対話や子どもたちによるグループ討議などの平和学習プログラムへの参加を求める方針で、具体的な内容の検討を進めている。 全国の自治体は原爆の日に合わせ、小中高生を広島市へ送り出す。25年8月5~7日に予定する「ヒロシマ青少年平和の集い」には、今月1日時点で61自治体781人の申し込みがある。 現状は派遣の経費は自治体が全額負担か、児童・生徒側が一部を負担する。市は、次代を担う若者に被爆の実態への理解を深めてもらうために、被爆地訪問を後押しする補助制度を整える。市が他の自治体に補助するのは異例という。 市は7月に制度の創設に向けた財政支援を国へ要望。11月18日にあった全国20政令指定都市でつくる指定都市市長会では、戦後80年に向けて各市が戦跡や被爆地に若者を派遣する平和学習に取り組むと申し合わせた。 6日の市議会一般質問で、松井一実市長は「各自治体がより多くの若い世代を派遣できるよう国の支援も得て補助制度を設け、全国の自治体へ派遣を働きかけたい」と強調した。
中国新聞社