LAで山火事、15万人に避難命令 ハリウッド近くの高級住宅街も被害
米西部カリフォルニア州ロサンゼルスで7日に大規模な山火事が発生し、強風にあおられて市街地に延焼した。映画産業の中心地ハリウッドに近い高級住宅街で被害が拡大。AP通信によると、8日昼までに約56平方キロに被害が及び、少なくとも2人が死亡、1000棟以上の建物が焼けた。鎮火のめどは立っておらず、CNNによると、ハリス副大統領の自宅がある地域を含めて15万人以上に避難命令が出された。 【写真まとめ】山火事の中ほえる犬、燃えた街路樹や車 山火事は7日以降、ロサンゼルス周辺の少なくとも4カ所で発生し、乾いた強風で延焼が広がっている。カリフォルニア州のニューサム知事は非常事態を宣言し、州兵に支援を指示した。地元の消防当局は州外からの応援も要請した。 バイデン大統領は8日、大規模災害宣言を出し、国防総省に消火作業の支援を命じた。連邦緊急事態管理局(FEMA)なども避難者への支援に当たっている。 一方、トランプ次期大統領は自身のソーシャルメディアに「まったく火事を制御できていない。被害総額は米国史上最悪になる可能性もある。バイデン氏とニューサム氏の無能と管理不行き届きの象徴だ」と投稿し、民主党の政治家に批判の矛先を向けた。 今回の山火事の直接の原因は明らかになっていないが、秋から冬にかけて局地的に吹く「サンタアナ風」と呼ばれる乾いた季節風の影響で急速に燃え広がった。ロサンゼルスを含むカリフォルニア州南部は例年、1月は雨期に当たるが、昨年5月ごろから極端に降水量が少ない状況が続いていた。 カリフォルニア大ロサンゼルス校の気候科学者、アレックス・ホール教授は、気候変動の影響で乾燥して山火事の被害が拡大しやすい気象条件が起きやすくなっているとし、「カリフォルニア南部の山火事の性質は変わりつつあり、我々はそれに適応しなければならない」と指摘する。 米森林局によれば、米国の山火事の85%近くは火の不始末など人為的な要因とされる。【ワシントン秋山信一、ニューヨーク八田浩輔】