前立腺がん検査は何歳から受けるべきかご存じですか? 検査内容・流れも医師解説
男性にとって身近ながんのひとつである前立腺がん。予防にはPSA検査が非常に有用とされています。PSA検査は何歳から受けられるのでしょうか? 診断の流れや内容について中野駅前ごんどう泌尿器科の権藤先生に聞きました。 [この記事は、Medical DOC医療アドバイザーにより医療情報の信憑性について確認後に公開しております]
前立腺がんとは男性のがんのなかでもどんな病気? PSA検査・血液検査(生検)など、どんな検査で前立腺がんの疑いを診断するの?
編集部: 前立腺がんとは、どんながんですか? 権藤先生: 泌尿器科の悪性腫瘍のなかでも非常に罹患数の多いがんです。2022年5月に厚生労働省と国立がん研究センターにより表された「2019年の全国がん登録」によると、2019年、新たにがんと診断された罹患者のうち、前立腺がんと診断された人が第1位となっています。 編集部: 具体的に、どのような性質のがんなのですか? 権藤先生: 前立腺の細胞が正常な細胞増殖機能を失って、がん化する疾患です。発症には男性ホルモンが一部関与しているとされており、進行は非常にゆっくりである症例が目立ちます。ただし、ときには進行が早いこともあるので注意が必要です。 編集部: 死亡率はどうですか? 権藤先生: ほかのがんに比べて死亡率は低く、なかには寿命にあまり影響しないと考えられる場合もあります。しかし、進行すると尿が出にくくなったり、頻尿になったり、血尿が出たりするほか、リンパ節や骨にも転移する場合もあります。 編集部: どのような検査で発見できるのですか? 権藤先生: 主に行われるのはPSA検査です。PSAとは前立腺の腺管内に含まれるタンパク質のこと。主に精子の潤滑油の役割を担っています。前立腺がんを発症すると前立腺内の組織が破棄され、PSAが血液中に漏れ出すとされていますが、そのメカニズムは明らかにされていません。 編集部: 血液中のPSA値を調べることで前立腺がんの可能性を調べることができるのですか? 権藤先生: そうです。 一般的にはPSA4以上でがんの可能性が疑われます。この4という数値にも明確なエビデンスはなく、4未満でもがんが存在することも十分ありえます。ただし、PSAの増加に伴い、がんの可能性が上昇していくことは事実で、現在最も優れたマーカーはPSAだと考えられています。 編集部: ほかにはどのような検査が行われますか? 権藤先生: PSA検査は主に一次スクリーニングの役割を担っており、二次スクリーニングとして直腸内触診や経直腸的超音波(エコー)検査、前立腺MRI検査などを行います。最近はMRIの画像精度が極めて改善しており、触診やエコー検査を割愛する場面も多く見られます。 編集部: ほかにも行われる検査はありますか? 権藤先生: PSAの前駆体である「proPSA」や、新たな前立腺腫瘍マーカー「プロステートヘルスインデックス」を測定する場合もあります。これらの検査でがんの可能性が高いと判断された場合には、「前立腺生検」と呼ばれる組織検査を経て、確定診断を行います。