今年のプロ野球はなぜバッテリーエラーが目立つのか
今季のプロ野球は、セ、パ共にキャッチャーのパスボールや、ピッチャーのワイルドピッチと言ったバッテリーエラーが、勝敗を左右しているケースが目立つ。 7月9日の阪神―中日戦(甲子園)では、2-2の同点の延長11回一死満塁から福谷がマートンに投じたストレートを捕手の桂がミットに当てながらも後逸して、珍しい捕逸サヨナラ劇となった。ラッキーな勝ち方をした阪神も11日の巨人戦では0-1で迎えた3回一死一、三塁で、打者・坂本の場面、捕手の鶴岡が藤浪の外のスライダーに対して体で止めるブロッキングをせず、ミットで捕球にいって後逸(記録は暴投)し、0-2とリードを広げられた。勝敗には関係なかったが、13日のオリックスーロッテ戦でも、2-5で迎えた9回二死一、三塁から完投目前の金子の後を継いだ平野が暴投で3点目を失った。根元を中飛に打ち取ったが、一発が出れば同点にされるようなミスだった。 7月11日時点で、最も捕逸の多いのは巨人の「9」。實松が一人で「5」を記録してしまっているのが大きいが、阿部を緊急出戻りコンバートさせるなど、なかなか捕手を固定できなかった実情を示している。 1000試合以上出場選手で、捕逸「20」の最小記録を持つ元千葉ロッテの里崎智也氏も「確かにキャッチャーのミスが目立つシーズンですね」と、顔を曇らせる。 「阪神―中日戦のサヨナラ捕逸は、外に構えてインハイへの逆球でしたね。パスボールした原因は、反応の悪さと遅れです。目、脳、体と伝達され反応するわけですが、伝達力が鈍い場合は準備でサポートできます。福谷はこの日、制球が定まっていませんでした。今季、何度か重要な局面で制球を乱すケースのあったピッチャーです。傾向を考えれば当然桂は、『ひょっっとしたら』というボールを頭に置いておかねばなりませんでした。 僕も捕手時代は、外国人選手の場合、高めに抜けるボールを『ひょっとしたら』とケアしていました。そのボールを半々なのか、6-4なのか、9-1なのか、割合を変えながら準備をしておくことが必要で、それがあれば対応できたでしょう。また、そのボールが来たときに対応できる基本技術があるのかという問題もあります。 阪神―巨人戦の鶴岡の場合はスローイングに不安があるので、走者が出て盗塁をケアする場合は、左膝を入れてほぼ半身になっています。一、三塁でしたから走者を気にしていた構えに原因があるでしょう。あの構えならば、当然ブロッキングにリスクは生まれます。藤浪のワンバウンドを予期しておき、三塁走者を帰さないことへの準備をしておくべきでした」