親から相続した財産を「自分にも分けろ」と夫に言われました。分けるべきですか?
親が亡くなって、現金や土地などの資産価値の高い財産を相続した人が、配偶者から「義理の親子なのだから、自分にも財産を分けるべきだ」と言われることがあるようです。 もし、親から相続した財産について、夫が自身の取り分を主張してきた場合は、どのように対応すればいいのでしょうか。
法律上は相続財産を自身の配偶者に分ける必要はない
相続によって財産を取得できる人は、法律で決まっています。亡くなった人の配偶者は常に相続人となり、さらに、下記の順位で最も高い人が、配偶者と共に相続人となります。 なお、同順位が複数人いる場合は、全員が相続人として法定相続分を均等に分けます。 (1)死亡した人の子ども(亡くなっていれば孫、孫が亡くなっていればひ孫) (2)死亡した人の父母(亡くなっていれば祖父母) (3)死亡した人の兄弟姉妹(亡くなっていればおい・めい) ここでいう子や父母などには、結婚により生じた親族関係は含めません。従って、自身の親から相続した財産について、夫が「亡くなった妻の親とは義理の親子である」という理由で取り分を主張しても、相続人ではありませんので、相続財産を受け取ることはできません。 また、「相続人の配偶者だから」と主張されたとしても、相続財産は受け取った相続人固有の財産となるため、法律上は分ける必要はありません。 ただし、夫が死亡した人と養子縁組をしている場合は、子として相続権を有します。相続人となる「死亡した人の子ども」には、実子と養子の両方を含むからです。
相続した財産を渡す場合は贈与税がかかる可能性がある
相続によって夫は財産が受け取れなくても、妻が相続した財産を夫へ贈与することはできます。しかし、妻が財産を夫に贈与した場合、受贈者となる夫には贈与税が生じる可能性があります。 夫婦間であっても、年間で110万円の基礎控除を超える財産の贈与は、贈与税の課税対象となります。 例えば、妻が相続した財産のうち150万円を夫に贈与した場合、夫婦間の贈与は一般贈与財産に該当し、110万円の基礎控除を差し引いたあとの課税価格は40万円です。200万円以下の課税価格に対しては10%の税率が適用されるため、夫は4万円の贈与税を支払うことになります。 ここで気になるのは、妻が相続税を納めているケースですが、その場合でも贈与税は発生します。相続税は相続で発生する税金、贈与税は贈与によって発生する税金であり、それぞれ発生原因が異なるからです。