トランプ再選へ大前進…!いま全米があきれはてている、”敗北目前”ハリスの「焦り」と「豹変」の全真相
「経済」と「移民」でトランプに敵わない
今回の大統領選の主要争点は、日本でも広く報じられるとおり「経済」「不法移民」「民主主義への脅威」「人工妊娠中絶への自由なアクセス」だ。上図はブルームバーグとモーニングコンサルトの共同世論調査による争点の重要度の推移を表す最新のグラフだ。 設問の「2024年11月の大統領選で最も重要な争点をひとつ挙げるとしたら何ですか」に対し、ここ1年間で「経済(白線)」が常に40%近くを占める圧倒的な最重要争点であり、2位は「移民(青線)」だ。ハリス候補の得意分野である「中絶(赤線)」と「民主主義(紫線)」は、重要度がそれらよりも低い。そして、「経済」と「移民」において、トランプ前大統領は各種世論調査で大きなリードを保ち続けている。 トランプ氏が支持者集会で決め台詞に使う「あなたの生活は4年前に比べてよくなったか」との問いに対し、大多数の米国民の答えは「ノー」であり、苦境にある多くの有権者の居住地において不法移民を公費で支える負担が増加する中、民主党エリートによる政治をぶっ壊すと約束するトランプ候補は支持が高まるのだ。 生活上の苦しみを抱える労働者層と意識が高い民主党エリートの認識の乖離は、最近のトランプ支持集会で登壇者が米自治領のプエルトリコを「ごみため」だと嘲笑した差別発言に対し、バイデン大統領が10月30日に、「本当のごみはトランプ氏の支持者だ」と述べた発言で如実に浮き彫りとなっている。インフレなど、それなりの理由があってトランプ候補を支持する人々を「ごみ」だとあざ笑ったも同然だからである。 厳しい経済的状況の下、「喜び(Joy)」や「イケてるフィーリング(Vives)」、「カマラブーム」や「熱狂的な支持拡大」などのハリス陣営のイメージ戦術は、訴求効果に欠けるばかりか反発さえ招いている。 事実、新たな支持層を掘り起こすどころか、労働者層、黒人男性、ヒスパニック系男性、若年層など、多くの伝統的かつ重要な民主党支持グループがトランプ側に流出中である。 こうした中、国民生活の悪化を招いた現行政策を推進してきたハリス副大統領本人が「経済」と「不法移民」の分野において「私には解決策がある」とどれだけアピールしても、多くの有権者から信用が得られないことは明白ではないだろうか。 こうした状況で、ハリスの応援に入った人気歌手のビヨンセが、男性有権者を離反させかねない「ミソジニー」や「女性差別」などのキーワードをあえて多用しながら、中絶の自由を訴えた。 その経緯や中身については、後編記事『ハリス「敗北」をすでに確信か…「トランプ優勢」を映しだす“ハリス支持のビヨンセ”が応援演説に行った「意外すぎる場所」』で詳しくお伝えしていこう。
岩田 太郎(在米ジャーナリスト)