超人気ユーチューバー・吉田能シェフがメニュー監修!イタリア料理店の新店が話題に
例えば、「普通にはもどれないミントのジェノベーゼ」は、ユーチューブのレシピをアレンジしたメニューのひとつだ。 「動画で紹介しているものよりもミントの量を大幅に増やすことで、より洗練されたひと皿にしています。“野菜の底力を最大限に引き出したズッキーニのステーキ”は、動画ではニンニクましましかつコショウをガンガンかけて作る料理ですが、『スピカ』ではハーブやミントなどを効かせることで爽やかな風味のひと皿に仕上げました」 ほかにもフライドポテトは普通の油ではなく、ニンニクとハーブで香りづけしたオイルで揚げて「最高峰の芋料理 フライドポテトの新しい形」として提供するなど、この店ならではのアレンジに注目したい。また、こうしたメニューの内容には現場に立つ宮澤シェフによるイタリアンとしての意見も取り入れられている。 「例えば、コース料理に登場する“〆の濃厚ビスクリゾット”は、フランス料理とイタリア料理の良いところが融合することで、見事な味のバランスに仕上げることができました。ビスクって元々はフランス料理に出てくる甲殻類のスープで、それをリゾットにしたものですが、本来イタリアンでは米に吸わせる出汁は動物性のものだけで、魚介の出汁を米に吸わせることはありません。でも僕は濃厚なカニのスープの出汁をしっかりとお米に吸わせたかった。だけど、ただ吸わせればいいのか? 宮澤シェフと意見を交わす中で、味が濃くなりすぎないようにベースの出汁をもう少しあっさりすることに落ち着き、完成に至りました」 リゾットのお米に関しても、ほどよく粘りがあり、噛んだ時にボロボロと切れることがないのは、素材にストレートにアプローチするイタリア料理の素晴らしさだと話す吉田シェフ。 「もともと美味しいものを別の次元に一歩引き上げるために、原形が見えなくなる状態にまで持っていくのがフランス料理です。逆にそこにいく前に完結させるイタリア料理は、シンプルにおいしさを突き詰めていると改めて感じました」 吉田シェフのフレンチと宮澤シェフのイタリアンのいいとこ取りをした特別な味わいこそ、『スピカ』の醍醐味なのだ。