幻の楽天監督が語る星野監督の新境地
東北楽天ゴールデンイーグルスが初のパ・リーグ優勝を果たした。 西武に先手を取られながらも、あきらめない逆転劇。満塁からのV打が新戦力ジョーンズで、最後を締めたのが22勝無敗の田中将大、というのも今季の楽天を象徴するようなゲームになった。 [表]星野監督は歴代12位タイの4度目の優勝監督
幻だった掛布楽天監督
楽天は、オリックスと近鉄の合併に端を発した球団再編問題が起きた2004年オフに、新しい球団として創設された。私も一度は、新チームの監督候補として声をかけていただき、三木谷オーナーとも直接、会談を持った。私の監督は幻に終わったが、少なからず縁のあった球団だけに、ずっと注目をしてきた。初代監督には田尾安志氏が就任。その初年度のシーズンは、97敗をして優勝したソフトバンクとは実に51.5ゲーム差をつけられた。その弱小チームが、野村克也氏、マーティー・ブラウン氏、星野仙一氏とバトンタッチする中で、試行錯誤を繰り返しながらも着実に成長をして創設9年目にして頂点に立った。球団関係者の方々並びに楽天をサポートしてこられた方々のここまでの苦労は並大抵のことではなかっただろう。 まずは心から「おめでとうございます」と言いたい。
優勝請負人 星野監督
就任3年目で優勝監督となった星野さんは、優勝請負人と言われてきた指揮官で、これまで中日、阪神を優勝に導いてきた。だが、このチームは、今まで星野監督が、成し遂げてきた優勝のスタイル、チーム像とは大きく印象が違う。 どこが違うのか? 今回の楽天の優勝の主役は星野監督ではなく選手なのだ。 阪神時代に星野監督は、4年連続最下位だったチームを就任2年で優勝させた。その時は、星野さん自身が、先頭に立ち、選手を鼓舞して、チーム編成にも、GM的に積極的に参加して、豪腕を発揮した。その強引なリーダーシップが印象的だった。 しかし、2013年の楽天の優勝では、星野監督は、一歩後ろに控え、マー君、則本、ジョーンズ、マギー、銀次……らという選手が、主役となって前に立った。前に出て引っ張るのではなく、後ろから押すというリーダーシップ。私は、そういうチームを作り上げた星野監督にかえって、将としての凄みを感じる。