熊野神社(岡山・倉敷)本殿檜皮ぶき屋根ふき替えへ 県重要文化財、CFで費用募る
岡山県倉敷市林の熊野神社は、同県指定重要文化財・本殿(第四殿)保存修理工事にかかる一部経費をクラウドファンディング(CF)で募っている。傷みが激しい檜皮(ひわだ)ぶき屋根を古来の工法でふき替えるためで、完成目標は2025年度末。神社は「歴史を重ねた文化遺産を次代に伝えるため、協力してほしい」と呼びかけている。 神社は701年創建。第四殿は横一列に連なる六つの本殿の一つで、現在の建物は1647年に初代岡山藩主池田光政(09~82年)が再建したと伝わる。老朽化が顕著で、雨漏りによって床などが傷んでいるという。 工事は樹齢70~80年のヒノキの樹皮を幾重にも重ね、竹くぎで留めながら屋根を覆う工法を採用。2月から作業に本格着手しており、古い檜皮を剝ぎ、屋根の部材を補修した上で順次ふき替えていく。 総事業費は1億1200万円。CFの目標額は100万円で、6月29日まで受け付ける。残りは県、市の補助金、氏子の寄付で賄う。 神社は2018年に国重要文化財の第二殿保存修理工事を完了。檜皮ぶきの屋根をふき替え、柱や装飾物を塗装し直した。他の本殿は全て県重文で、いずれも前回のふき替えから約50年が経過しており、今回の第四殿を皮切りに保存修復を進めていく方針。 佐藤みつゆき宮司(78)は「ふき替えは文化財を守るために必要な作業。昔ながらの姿を後世につなぎたい」と話している。 CFは山陽新聞社や中国銀行などの「晴れ!フレ!岡山」のサービスを活用。返礼品は檜皮の繊維で作ったオリジナルのお守りなどを用意した。詳細は専用サイト(https://readyfor.jp/projects/140268)。