霊能力者JUNの存在は? 柴田町男性殺害判決 長男の妻に懲役28年 次男に懲役20年〈宮城・柴田
仙台放送
霊能力者の存在を否定し、殺人の共謀を裁判所が認定です。去年4月、宮城県柴田町で男性が殺害された事件の裁判員裁判で、仙台地方裁判所は殺人などの罪に問われた男性の長男の妻に懲役28年、次男に懲役20年の実刑を言い渡しました。 殺人などの罪に問われたのは角田市の無職、村上敦子被告(48)と村上直哉被告(26)の2人です。2人は去年4月、柴田町西船迫の住宅で村上隆一さん(当時54)を刃物で刺して殺害した罪などに問われていました。 敦子被告は村上さんの長男の妻、直哉被告は村上さんの次男で、裁判では直哉被告が殺人を認めた一方、敦子被告との共謀を否認。敦子被告は殺人に関与していないと主張し、殺人の犯行に共謀の事実があったかどうかが争点になっていました。 11月25日、開かれた判決公判で宮田祥次裁判長は、「敦子被告の発言によって直哉被告は村上さん殺害を決意した」として共謀の成立を認めました。 そのうえで敦子被告に対し、「村上さんの退職金を得ようと企画したもので悪質性が顕著。犯罪発覚を免れるために証拠の隠滅を主体的に働きかけていて長期の実刑は免れない」として、懲役28年を言い渡しました。 また、直哉被告には、「実行犯として計画的かつ強い殺意で犯行に及んだ」と指摘。 一方で「敦子被告に利用され、思い込みで犯行に及んだことからも敦子被告ほど悪質とまではいえない」として懲役20年を言い渡しました。 この裁判では、2人の間に殺害の共謀があったかが争点になっていました。その鍵を握っていたのが、「霊能力者ジュン」の存在です。 仙台地裁は、ジュンは敦子被告だったと判断しました。 裁判の初公判で検察が指摘したのが「霊能力者JUN(ジュン)」。これまでの裁判で検察側は敦子被告がジュンになりすまし、SNSで直哉被告に殺害を、指示をして実行させたと指摘。 敦子被告はジュンを「知らない」などと話し、直哉被告も「『父が敦子被告に呪いをかけている』と言われ、呪いを解くためには父を殺すしかないと考えるようになった。ジュンは助言してくれるだけ」と話していました。 霊能力者の存在をめぐって検察側、被告側の主張が分かれていた今回の裁判。 11月25日の判決公判で宮田裁判長は「携帯電話の通信の履歴などから敦子被告以外がジュンとしてメッセージを送信したことは考えられない」などとして「ジュン」イコール「敦子被告」と認定。 「ジュンになりすまして言葉巧みに殺害に誘導して自らの手を汚さないように実行した」と述べて、2人の共謀成立を認めました。
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