「もう歳だから…」ってあきらめてない?…85歳、77歳、75歳の3人が二科展挑戦 初入選 快挙喜ぶ南さつまの絵画教室「作品は人生映す。創作は気持ちが大事」
80歳を超え、鹿児島県南さつま市の絵画教室で学ぶ井上滿弍さん(85)=南九州市川辺=が第108回二科展に初挑戦し、入選を果たした。70代の南洋子さん(77)=南さつま市加世田、山口久栄さん(75)=同=も初出品初入選。作品はいずれも、16日まで東京・六本木の国立新美術館に展示され、指導する二科会会員有馬広文さん(67)は3人の快挙を喜ぶ。 【写真】井上滿弍さんの作品「坊津港」
教室は2004年に開始。70代中心の11人が第4日曜午前9時半~午後5時に市民センターに集う。 昨年から教室に通う井上さんは、長距離トラック運転手や運輸労連役員を長く務め70歳で退職。若い頃から絵が好きで独学で描いていた。3年前にシルバー作品展で入選し、本格的に絵を学ぼうと決意した。 入選作は「坊津港」(50号)。力強く鮮やかに色を塗り込んだ。「描き始めたら食事も忘れ5、6時間集中する。今後も思う存分描けたら。次は100号に挑みたい」と意欲を見せる。 南さん、山口さんは教室歴2年。南さんは「時を紬ぐⅠ」で妹が営む店を表現した。「熱心な仲間に刺激を受けている。いつかルノアールの絵のような子どもを描けたら」と夢を語る。 山口さんは「ベルサイユ離宮(1)」で素朴な建物や庭園を細密に描いた。「絵に向き合うと日常を忘れられる。元気が続く限り描きたい」と意気込む。 教室からはベテランの白沢栄一さん(78)=枕崎市、源川貴美子さん(71)=南さつま市=も入選。有馬さんは「絵に年齢は関係ない。描きたい気持ちがいかに強いかだ。いずれも人生を映した力作になった」。
同市出身の二科会常務理事西健吉さん(83)は「作品が東京の美術館に並び人生が変わるほどの出来事になったと思う。新しい創作を楽しんで」とエールを送った。
南日本新聞 | 鹿児島