活動報告会をした田中希実（撮影・川並温美）

陸上で女子1500、5000メートル日本記録保持者の田中希実（ニューバランス）が25日、東京・千代田区で活動報告会を開き、今季を振り返った。 今季は海外転戦やケニア合宿を経て、8月のパリ五輪へ。女子1500メートルでは準決勝、5000メートルでは予選敗退といずれも決勝には進めなかったが、世界に挑み「幸せだったという一言に尽きる。五輪という大舞台にチームとして向かっていけたことに幸せを感じる。どんな結果であれ、自分自身がそれを受け入れられるだけの努力をしっかりできたことが幸せだった」と充実感を見せた。 五輪後には最高峰シリーズ、ダイヤモンドリーグ（DL）に出場。年間上位選手しか出られない最終戦では5000メートルで今季自己ベストの14分31秒88をマークして6位で締めくくり、「自分の中での五輪をやり直すことができた」と振り返った。 パリ五輪女子マラソン金メダルのシファン・ハッサン（オランダ）や女子1500メートル金メダルのフェイス・キピエゴン（ケニア）らと同じ舞台で走る中で、心境にも変化が芽生えた。2021年の東京五輪時よりも1500、5000メートルともに平均タイムは向上しているが自身が持つ日本記録更新はならず、「日本記録にあとちょっとで及ばないのはフィジカル以上に意識の差なのかと感じた」と分析。「ハッサン選手、キピエゴン選手などトップオブトップの選手は気風、雰囲気があっていろんな人に影響を与えている。私もその一員になりたい。今年度を経て世界のトップを目指したいと思い始めた。それだけの一点を目指して普段の生活、練習に取り組んでいかないといけない」とさらなる高みを目指していくことが必要を感じたという。 競技面では1500、5000メートルともにラストのスピード強化が課題。1500メートル日本記録更新と5000メートルアジア記録（14分28秒09）を更新を目標に掲げ、「世界記録を持っているような選手にも挑んでいくマインドがついてくると思う」と田中。「これからは切り開いていく姿をお見せしたい気持ちが大きい。支えられながら歩むというよりは先陣を切ってこういうことがしたいとたくさんの方を驚かせたい。（ファンの皆さんへ）今までは見守ってくださいと表現してきたが、期待しない方が驚きも大きいと思うので、そこまで期待せずにぼんやりいてもらったら嬉しい」と気持ちを新たにした。