【2025年の政治展望】石破政権はどこまで持つのか?来春以降にあり得る2つのリスクシナリオ
総裁選を勝ち抜いた石破氏は第一次政権を発足させ、早期に衆院解散に踏み切ったものの総選挙で敗北、与党は過半数を割った。野党は結集せず、連立政権にも加わらなかったため、第二次石破政権は30年ぶりとなる少数与党での発足となった。石破政権は国民民主党と協議しながら予算案、法案成立の協力を仰ぐ方針を採っている。 【著者作成グラフ】「内閣支持率-不支持率」のスプレッド推移。グラフを見てもわかるように、スプレッドが▲20%ptを超えると、そのまま退陣となるケースがほとんど。 参院選まで石破政権継続がメインシナリオだが、与党による政局、そして野党による政局の2種類のリスクシナリオが考えられる。それぞれどのようなシナリオなのだろうか。(宮前 耕也:SMBC日興証券 日本担当シニアエコノミスト) <石破政権の支持率は、発足直後の割には低迷> 長期にデータを得られるNHK世論調査により、岸田前政権および石破政権の内閣支持率の推移を確認してみよう。 岸田前政権の支持率は、発足当初は50%台で推移したが、段階的に低下した。旧統一教会を巡る問題が生じた2022年後半以降は40%前後、政治資金問題が生じた2023年末以降は20%台前半で推移した。そして、2024年9月に20%と最低値を更新し、岸田政権は退陣した。 石破氏は国民人気の高さを期待されて新総裁、そして首相に選出されたが、国会運営や政策の方針を巡る発言のぶれ等もあり、政権発足直後の割には支持率が低迷している。 2024年10月の石破政権の支持率は44%にとどまり、発足時としては森政権の39%(2000年4月)に次ぐ低水準にとどまった。最新12月の支持率は不支持率と一致する38%だ。
■ 政権崩壊の危険水域は何%pt? <危険水域ではないが、予断を許さない状況> 内閣支持率から不支持率を差し引いたスプレッドは、政権の安定性をみる上で1つの参考指標になる。 過去をみると、スプレッドのマイナス幅が▲20%ptを超えた場合、マイナス幅が拡大傾向を辿り、そのまま退陣となるケースがほとんどだ。例外は小渕内閣に限られる。危険水域に入ると挽回が難しい。 岸田前政権のスプレッドは、政治資金問題の影響で2023年11月以降に▲20%ptを超え、そのまま挽回することなく自民党総裁選を機に退陣へ至った。石破政権のスプレッドは、発足直後の2024年10月に+12%ptで、直近12月にゼロまで縮小。危険水域とはいえないものの、予断を許さない状況だ。 ■ 夏の参院選を控え、春以降に政局? 2025年の政治日程で最も重要なのは、夏に実施される第27回参議院議員通常選挙だ。通常国会の会期次第であるが、参院選は7月中に実施される可能性が高そうだ。参院選の帰趨により、政権の枠組みや安定性が大きく変わる可能性がある。 ただ、石破政権の支持率が発足直後から低迷していることもあり、夏の参院選の前に政治情勢が不安定するか否かも注目される。 政局があるとすれば、春以降だろう。3月までは、与野党とも2025年度当初予算案、税制改正法案の審議そして成立に注力するとみられる。参院選を控え、野党は政権担当能力を示すため、予算案等に対する十分な審議を求めつつも日程闘争などを避けるであろう。 少数与党下であるものの、当初予算案、税制改正法案は年度内に成立する可能性が高そうだ。