3800万年前のシロアリが現代と同じ求愛行動 琥珀内の姿から分析 沖縄科技大
ただ、水元助教は琥珀の2匹が縦並びのタンデムではなく、横に並んだ様子になっていることを不思議に思った。また、樹脂はゆっくりと流れ落ちて琥珀になるので、1匹が樹脂にはまった場合、もう1匹は逃げられるはずなのに、逃げ出さない理由も分からなかった。そのため、樹脂に見立てた粘着板でイエシロアリのつがいを歩かせて、どのような行動を取るか観察した。 すると、1匹が動けなくなったときに、もう1匹も一緒にもがくように横に移動していく様子が見て取れた。つがいでないシロアリを粘着板で歩かせるシミュレーションを解析すると、この行動は見られない。つまり、シロアリはペアの相手を見捨てずに一蓮托生することが分かった。捕食者に遭遇すると通常は逃げるが、粘着性のある表面では危険を察知できずに樹脂に巻き込まれたのではないかとみている。これにより、琥珀の中で見つかったシロアリが一緒に閉じ込められた理由も説明でき、その協調行動が世代を超えて受け継がれていることが分かったという。
水元助教は「2個体で一緒に協調して歩く、単純な群れ行動の様子が確認できた。タンデム歩行が他にもどんな多様な行動様式を取るのか、今後も研究したい」とした。
研究は日本学術振興会の科学研究費助成事業を受けて行われた。成果は米国科学アカデミー紀要電子版に3月5日に掲載され、同月6日に沖縄科学技術大学院大学が発表した。