率直に聞く あなたはなぜ「クルマ」が好きなのか? パート2
具体的なクルマの魅力
一方、プライベート空間の意味として今回寄せられた意見のひとつは、コロナ禍によって公共交通での通勤が面倒になり、結果的にクルマ通勤が一番安全だというものだった。 コロナ禍によって、身近で簡単に得られるプライベート空間としての自家用車の価値を強く感じた人が多かったのだろう。 クルマ好きな理由として挙げられた項目は非常に具体的であり、趣味や実用の一部であるはずだ。自分の過去の歴史を振り返っての心情的な理由である。また、現在の問題意識と結びつけることで見えてくるものなど、実に多様であった。これらの極めて具体的な意見は、企業が今後さまざまなクルマビジネスを展開するためのヒントの宝庫である。 若者のクルマ離れをどうするか。それは問題ではない。今この瞬間にクルマが好きな人たちは、いったい何に魅力を感じているのか。この問いに寄り添うことが、自動車産業をビジネスとして維持・育成していく鍵なのだ。 今、クルマを持っている人は、「こんなサービスがあったらいいな」「こんなモノがあったらうれしいな」といった意見を、ひとりひとりがもっと持っているはずだ。もちろん、筆者はこの記事があくまでも「クルマ好き」の視点に立ったものであり、彼らに最大限の敬意を払ったものであることを痛感している。 ならば、「クルマはあまり好きではない」という人たちの意見も聞いてみたい。そこにはきっと新しいビジネスのヒントが隠されているはずだ。
泉圭一郎(自動車業界ウォッチャー)