『光る君へ』彰子の心を解き放つ見上愛の名演 涙の叫びが一条天皇の心を動かす
まひろ(吉高由里子)だけが彰子(見上愛)の胸中を見抜いた
公式サイトで公開されているキャストインタビュー動画「君かたり」で見上は、まひろに心のうちを指摘されるシーンについて、「こんなにも自分のことを見てくれている人がいたんだっていうことに、結構、衝撃も受けたし、うれしかった」「(帝への思いをことばにすることについて)今まで誰もそんなこと言ってくれなかったから、『私、ことばにしてもいいんだ』って、何か今まで絡まっていた糸みたいなものがほどけていく感覚がありました」と語っている。まひろのまっすぐな言葉に心動かされ、彰子は涙する。演者である見上が見せた涙は、まさに“絡まっていた糸がほどけていく”感覚を表しており、心に響く。 見上がインタビュー内で語っているように、これまで彰子は父・道長含め、周囲の人間の思惑などを全部わかったうえで口をつぐんでいた。それを誰からも理解されずにいた中、まひろだけが彰子の胸中を見抜き、それをことばにするよう伝えてくれた。 「お上! お慕いしております!」 敦康親王に会うために藤壺を訪れた一条天皇に向かって、彰子は涙ながらに思いを伝えた。これまでにないほどはっきりした口ぶりに、彰子が意を決した様、内に秘めてきた思いの強さがうかがえる。見上の涙する演技は胸に迫るものがあり、一条天皇が立ち去った後、声をあげて泣き続ける姿はとても切なかった。 藤壺では「また来る」とだけ言って立ち去ってしまった一条天皇だが、嘘偽りのない彰子の自分への思いを目の当たりにしたこと、加えてまひろと対話する中で、御嶽詣までして彰子の懐妊を願う道長の「親心」に触れたことが、一条天皇の心を動かす。 彰子は初めて一条天皇と結ばれた。一条天皇に抱きしめられた時、その横顔がふと安堵したように見えた。抱きしめ返す彼女の手もまた、一条天皇への思いに溢れていた。 まひろに心のうちを指摘されるシーンについて、見上は「すごく大事なシーン」「ここからの彰子自身も、まひろとかお父さんとの関係性もここから変わっていくきっかけになるんじゃないかなと思いました」とコメントしている。彰子は今後、朝廷を背負う重要な人物となる。見上の演技がどのように変化していくのか楽しみだ。
片山香帆