【ヴィクトリアマイル】先行力と速い上がり両方が求められる舞台 京大競馬研の本命はマスクトディーヴァ
中心は前目から速い上がりを使える馬
5月12日(日)にヴィクトリアマイル(GⅠ)が行われる。昨年のマイルCS覇者ナミュール、秋華賞で三冠牝馬リバティアイランドを追い詰めたマスクトディーヴァに加え、秋華賞、エリザベス女王杯3着ハーパー、ターコイズS勝ち馬フィアスプライド、中山牝馬Sを鮮やかな逃亡劇で制したコンクシェルなど、重賞戦線の有力牝馬が集結。非常に難解な一戦となった。 【ヴィクトリアマイル2024 推奨馬】日本トップマイラー参戦、勝率30%&連対率50%データに該当! SPAIA編集部の推奨馬を紹介(SPAIA) 以下では、本レースが行われる東京芝1600mのコース形態とそれに起因するレース質、そして想定される展開を踏まえ予想する。 まずは東京芝1600mのコース形態について。NHKマイルCと同じコースのため先週と内容は重なるが、改めて見ていこう。スタート地点は向正面直線の右奥で、初角までの距離は約540m。3コーナーにかけてはおおむね下り坂になっており、その後高低差2.1mのなだらかな上り坂を持つ約530mの最終直線が待ち構えている。 まず注目すべきは初角まで約540mという距離があること。これは東京芝コースの中で最も長い。スタートしてから序盤の隊列は定まりづらく、先手争いは長引きやすい。序盤のペースは流れ、コーナーにかけての中盤でペースが緩む。先行勢が再加速するまでの区間で後方勢が下り坂の惰性で進出できるため、最終直線に入るまでに前とのポジション差を縮めやすい。したがって、序盤から中盤で脚を温存しながら追走し、最後に速い上がりを使うことができる差し脚確かな馬が有利となっている。 これは数字からも明らか。ヴィクトリアマイルの過去10回において、上がり3F4位以内馬の成績は【8-5-3-28】勝率18.2%、連対率29.5%、複勝率36.4%、単回収率191%、複回収率145%と優秀だ。 ただ、ひとつ注意しなければならないことがある。それは、先週のNHKマイルCはAコース最終週、ヴィクトリアマイルはBコース初週に施行されるという点だ。 先週掲載したが、NHKマイルCの過去10回における上がり4位以内の馬の成績は【8-7-7-18】勝率20.0%、連対率37.5%、複勝率55.0%、単回収率229%、複回収率416%であり、ヴィクトリアマイルのそれを勝率、連対率、複勝率、回収率全てにおいて上回っている。これはひとえに馬場状態の差によるもの。コース形態は末脚確かな馬が有利になりやすいが、馬場状態としては内前をロスなく立ち回った馬の残り目にも注意しなければならない、というのが本レースである。 続いて今回想定される展開から恵まれる馬を考える。メンバー構成は前走通過順位に3番手以内だった馬が5頭と、出走馬15頭に対して少なくはない。ただ、5頭中4頭が距離短縮馬、そして5頭全てが「絶対にハナまで取り切りたい」というタイプではないため、向こう正面一杯の激しい先行争いとはならないだろう。 後方勢も楽に追走できるミドル~ややスローペースで一団となって最後の直線を迎える場合、重要になるのは位置取りだ。どの馬もある程度脚が溜まっている状態のため、より前目の位置取りから末脚を伸ばせる馬が最も恵まれる。速い上がりを使えることは大前提として、より前目の位置を積極的に取れる馬を中心に重い印を打っていきたい。