【昭和少年】収集好きは昔から 社会問題にもなった「仮面ライダーカード」
カードは、ライダーや怪人、ドラマの場面写真などが印刷された表面に対し、裏面にはその説明が書かれており(怪人の出身地や特徴、挿入歌の歌詞など)、思わず集めたくなってしまう。さらにラッキーカードに当たった場合は、カードを送ると2~3週間前後で専用のアルバムが届いて、それに集めたカードを番号順に入れていけば、ライダー図鑑、ライダー全集とも呼んでもいいような、資料性のあるコレクションになった。新しいカードが出ていると聞けば、われ先にとスナックを買いに走った。競争心と収集欲をくすぐる絶妙なアイテムだったのだ。
食べきれないスナックを新品のまま廃棄 一時は社会問題にも発展
しかしブームの弊害で、カード欲しさにスナックを何袋も買うため中身を食べきれなくなり、スナックを捨ててしまうという現象が起きた。当時、まだいたるところにドブ(側溝)があった時代。仮面ライダースナックを売っていたパン屋さんの近所のドブに、新品のままのスナックや、カードが入っていた袋などが捨てられたりしたのだ。最初は地域の問題であったが、すぐに新聞にも載る社会問題にまで発展した。そのため、先生から「仮面ライダースナックを外に捨てないように」とおふれが出た学校も珍しくない。 ちなみに筆者の場合、当時小学校高学年だったのだが、同級生にパン屋さんの息子がいて、何人かで貯めた小遣いを出し合って、入荷したスナックをまるごと一箱買う、ということを何度かやったことがあった。子どもなのに大人買い。当然、スナックは大量に余る。ところが、学校からは捨てるなと言われているし、周囲の監視の目も厳しい。そこで、一度スナックを口にした祖母が「美味しいね」と言ったことがあるのをいいことに、スナックはすべて祖母に渡すようになった。孫思いの祖母は必死になってその都度、大量のスナックを食べてくれたのだが……最後には「もうこれ以上は食えない」と言われて絶望した記憶がある。
そんな歴史的アイテムなので、カードとアルバムは過去、何度か復刻されたことがある。この記事中に掲載した写真のカードやアルバムも、残念ながら当時のオリジナルではなく、90年代以降の復刻版だ。オリジナルのものはネットオークションなどでは、レアなカードなど種類によってはかなりの高額で取引されているようだ。 「ポケモンGO」でポケモンをGETして回るのも、気持ちの底には収集欲や競争心、達成感などがあるものと思われる。アナログからデジタルに時代が移り変わっても、人間の興味はさして変わらないものなのだろう。 (文・撮影:志和浩司)