これぞ宮藤官九郎の社会派コメディの原点ともいうべき、映画「ゆとりですがなにか インターナショナル」
高円寺から八王子の間で繰り広げられるインターナショナルな物語
映画では、坂間は茜との間に二人の娘が生まれているが、夫婦仲はあまりうまくいっておらず、坂間酒造の宣伝のために動画配信を始めるが、こちらもパッとしない。そんな中で以前の勤務先の食品メーカーが韓国企業に買収され、その傘下の居酒屋チェーンと日本酒の独占契約を結んでいた坂間酒造も契約見直しを迫られ、ピンチに陥る。 山路はいまだに女性経験ゼロで、婚活サイトで知り合った女性とのデートにも、レンタルおじさんでまりぶの父でもある麻生(吉田鋼太郎)にリモートで参加してもらい相談するという、相変わらずのこじらせぶりを見せる中、勤務先の小学校に外国人生徒が二人同時に転校してきたり、新たな教育実習生を迎えて、振り回される。 まりぶは、大学卒業後に日本発祥のエビチリで中国進出する新事業に手を出すが、失敗して帰国。坂間と再会して坂間酒造で働くことに。しかし、坂間が動画配信をやっているのを知って、悪知恵を働かす。 そして、山岸は後輩からパワハラを責められる立場になり、坂間の妹・ゆとりは旅行会社を辞めて北欧雑貨販売で企業しようとしていたりなど、時を経た他のキャラクターたちの状況も変化。さらには、木南晴夏や上白石萌歌らが演じる新キャラも登場する他、2017年にHuluで配信されたスピンオフドラマ『山岸ですがなにか』で山岸の彼女となった佐津川愛美演じる須藤冬美も本編に初登場する。余談ながらこのスピンオフも宮藤が脚本を書いており、メタフィクションドラマとして秀逸なので、機会があればぜひ観て欲しい(Huluで配信中のほか、スペシャルドラマの豪華版ソフトの特典映像に収録)。 なお、タイトルがなぜ“インターナショナル”なのかというと、今回は松坂が宮藤や水田伸生監督に、“映画「ハングオーバー!」シリーズのようなテイストを『ゆとりですがなにか』の主人公三人でもできるのでは”と提案したことが発端となっており、宮藤は海外ロケも視野に入れた“国際的な”続編を構想。しかしコロナ禍により状況が激変したことから、コロナ前は外国人の来日が多かったことを踏まえ、高円寺から八王子の間でインターナショナル感を出すことがこの作品らしいということになっていったようだ。