「ボーはおそれている」「シビル・ウォー」……A24作品に勢い:総まくり2024年
2024年もたくさんの映画が、私たち映画ファンを楽しませてくれました。ひとシネマのライター陣が、映画、動画配信サービスの作品から今年の10本、そして2025年への期待を語ります。 【写真】現実に起こりうる個人の心情の変化や社会問題を寓話化した作品が好きなようで… 「ドリーム・シナリオ」の一場面
映画ライター・SYOさんが選んだ今年の10本
「ボーはおそれている」(アリ・アスター監督) 「落下の解剖学」(ジュスティーヌ・トリエ監督) 「オッペンハイマー」(クリストファー・ノーラン監督) 「パスト ライブス/再会」(セリーヌ・ソン監督) 「システム・クラッシャー」(ノラ・フィングシャイト監督) 「関心領域」(ジョナサン・グレイザー監督) 「時々、私は考える」(レイチェル・ランバート監督) 「憐れみの3章」(ヨルゴス・ランティモス監督) 「シビル・ウォー アメリカ最後の日」(アレックス・ガーランド監督) 「ドリーム・シナリオ」(クリストファー・ボルグリ監督)
劇映画の力を借りて過酷な現実を生き抜く
例によって「正体」ほか関わっている作品があるため、日本映画は除外して選びましたが……それでも30本以上「あぁよかったな……」と思い出す外国映画があり、日本映画も含めて今年も数多くの良い作品に出合えた1年だったなと再認識しました。 悩みに悩んだ結果、半数がA24作品となり、自分の偏った趣味嗜好(しこう)を痛感もしました(笑い)。どうも自分は、現実に起こりうる個人の心情の変化や社会問題を寓話(ぐうわ)化した作品が好きなようです。物価がどんどん高騰し、経済格差は拡がり、個人が何不自由なく天寿を全うできる可能性がどんどん目減りするいま。過酷な時代をサバイブするため、劇映画というフィクションの力を借りて現実を再検証する必要性を感じますし、心の豊かさを保持するためにもより大切な存在になってきていると感じます。
映画ライター SYO