１０月７日、資源大手リオ・ティントは、オーストラリアに拠点を置くリチウム生産のアルカディアム・リチウムに買収を打診したと、両社が別々に発表した。写真はリオ・ティントのロゴ。昨年４月撮影（２０２４年　ロイター/Dado Ruvic）

Melanie Burton [メルボルン ７日 ロイター] - 資源大手リオ・ティントは、オーストラリアに拠点を置くリチウム生産のアルカディウムリチウムに買収を打診した。両社が７日、別々に発表した。金銭的な詳しい条件は明らかになっていない。 ロイターは４日、両社が協議に入っており、アルカディウムの評価額は４０億─６０億ドルかそれ以上になる可能性があると伝えている。 リオ・ティントは「買収提案は拘束力を持たず、合意に至るか、あるいは取引が進展するかは不確実だ」と述べた。 豪株式市場でアルカディウムは４６％高の６．０９豪ドルで引けた。一時５０％上昇した。リオ・ティントは２％下落した。 買収が実現すれば、リオ・ティントはリチウム供給でアルベマールとＳＱＭに次ぐ世界最大手の一角に躍り出る。 リチウムは電気自動車（ＥＶ）の電池や蓄電池などに使われる。最近のリチウム価格下落を受け、アルカディアムの株価は１月以降で５０％余り下落し、買収に妙味が出てきている。 リチウムイオン電池の成長により、リチウム需要は２０３０年までに急増するとみられている。 リオ・ティントはアルカディウムを買収することで、アルゼンチン、オーストラリア、カナダ、米国のリチウム鉱山や鉱床の権益や処理施設を得る。数十年にわたる成長の原動力となるほか、米テスラ、ゼネラル・モーターズ（ＧＭ）、独ＢＭＷ 含む顧客基盤も獲得することになる。 両社の株式を保有するアルゴ・インベストメンツのポートフォリオ・マネジャー、アンディ・フォースター氏は、アルカディアムには成長プロジェクトは多いが、それを実現するための財務基盤がないと指摘し、同社の評価について慎重な見解を示した。 「リチウムの長期的な価格設定に影響を与える要因はこれまでとは違う」と述べた。 アルカディウムの別の機関投資家は、リオ・ティントが報道されたレンジの上限を提案すれば買収は成立するだろうと述べた。 ＴＤコーウェンのアナリストらは、アルカディウムの生産量は今後３年間で７８％増加し、２８年には１３億ドルの収益をもたらすと予想した。 ４日付のメモで、「アルカディウムが身売りする必要はないと考えているが、買収価格は１株当たり５ドル以上から交渉を始める必要がある」との見方を示した。 ただアルカディウム株主のブラックワトル・インベストメント・パートナーズは、買収提示額が４０億─６０億ドルのレンジ内にとどまるなら、著しい過小評価だとの見方を示した。 アルカディウムの経営陣も、売却額は８０億ドル近くにするべきだと述べた上で「機会便乗型の提案」からは手を引く姿勢を表明した。