「年金だけでは生活できない」“働きたい”シニア世代 人材不足に悩む企業は積極的に採用など対策【現場から、】
静岡放送
「年金だけでは生活ができない」そんな切実な声が多く聞かれます。人手不足に悩む企業などは、シニア世代を積極的に呼び込もうと採用の間口を広げるなど対策を進めています。 【写真を見る】「年金だけでは生活できない」“働きたい”シニア世代 人材不足に悩む企業は積極的に採用など対策【現場から、】 静岡県富士宮市にある割烹旅館小川荘です。市内に住む64歳の若林こづえさんは、長年フルタイムで事務の仕事をしていましたが、現在はここで1日3時間から4時間働いています。 <若林こづえさん(64)> 「とにかく楽しい。年金だけだと生活がいっぱいいっぱいで、ぎすぎすしちゃうから短時間でも外に出れば人と話しができたり、スタッフとも話しができたり、自分の中で笑って生きていけるのかなって」 県と富士宮市は仕事を探すシニア世代と企業などのマッチングに力を入れています。10月の相談会では若林さんなど「年金だけでは苦しい」と話す多くの人が集まりました。 <参加した人(65)> 「年金では食べていけない。少しでも余裕ができればと思って」 割烹旅館小川荘では、従業員14人のうち8人が60歳以上です。短時間の勤務を受け入れるなど採用の間口を広げ、働く意欲のあるシニア世代の力で人手不足を補っています。 <割烹旅館小川荘 宇佐美尚美さん> 「シニアの世代になると自分のやりがいとか、おこずかいじゃないですけど、そういう感じでちょっとの時間、社会参加をしていきたいという方が多いので、お互いにいい。この世代は逃せないです」 働きたいシニア世代をサポートするため、県は5年前から静岡県内3か所に専任のコーディネーターを配置しました。相談の件数は年々、増えているということです。 <しずおかジョブステーション東部高齢者雇用推進コーディネーター 西島義勝さん> 「経験がなくても柔軟な働き方、『フルタイムでなくても逆にいいですよ』と、自分のペースにあった働き方をしてくれれば大歓迎という企業が多いです。『ちょっと視野を広げてみませんか』というような働きかけをしています」 シニア世代は介護の現場でも活躍しています。 <週4日・1日3時間勤務 斎藤由利子さん(74)> 「お家の方が取りにいらっしゃるので、ちょっときれいに」 富士宮市の介護老人保健施設では60歳以上の職員を23人雇用しています。主な仕事はシーツの交換や清掃など、資格がなくてもできる作業。こうした作業を分担することで資格を持つ職員は利用者のケアにより多くの時間を使うことができます。 <介護老人保健施設みゆきの苑 佐藤剛副主任> 「自分の仕事が明確になって専念しやすいというのもありますし、連携をうまくとらないといけないところもありますけど、いいところの方が多い」 フルタイムで働く高齢者は大きなやりがいを感じていると話します。 <週5日フルタイム勤務 土屋千賀子さん(74)> 「働きやすいね。体力的に難しいことはやらなくてすむということもありますので。こういう仕事をやれることはとてもありがたい」 <週5日・フルタイム勤務 飯塚一男さん(66)> 「年金ですときついものはあるし、体が動けるうちはいろいろと経験しようかな。やりがいはありますね」 <介護老人保健施設みゆきの苑 小見山直之副施設長> 「年齢とか関係なく、みんなの仲間という感じで、年齢分け隔てなく、チームとして働ければいいかなと思っています」
働きたいシニア世代と人手不足に悩む事業者。少子高齢化に歯止めがかからない中、そのマッチングが今後ますます重要になりそうです。
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