「もう無理かも」岩佐まり(40)若年性アルツハイマー型認知症の母の介護に疲れ果て…夜中にケアマネに送った一通の「メール」
── 仕事との両立も大変でしたか? 岩佐さん:東京で暮らしていた頃、母は深夜に起きてもトイレの場所がわからないんです。なので、そのたびに私も起きてトイレに連れていっていたら、寝不足で仕事がどんどんしんどくなって…。ある日、限界をむかえてしまい、夜中にケアマネージャーさんに「もう無理かも」と連絡したんです。 そうしたら「デイサービスだけでなく、週1でもいいから母を泊まりのショートステイに預けたほうがいい」と。介護施設が自宅からあまりにも近く、それなら自宅でいいだろうと、それまでは宿泊は利用していなかったんです。でもケアマネージャーさんから「週1でも遊んだりゆっくり寝たりして、自分の時間をつくってください。心に余裕がないと介護はできないですよ」と言われたんです。
── そうすることで変わりましたか? 岩佐さん:旅行に行ったり、テーマパークに行って夜までゆっくりできることで、心にゆとりができて、私自身が明るくなりました。同時に、母も明るくなっていくのを見て、「私が幸せじゃないと母も幸せじゃない」と気づきました。たとえば母に同じことを何回も言われると以前はイライラしていたのに、心に余裕があると笑顔で受け止められるようにもなりましたね。 介護だけでなく育児などもそうですが、辛いと思ったときは借りられる手があるなら借りたほうがいい。自分の時間をつくって息抜きすることで、イライラせずに相手に接することができる。なるべくみなさんも、自分にご褒美をあげてほしいですね。
PROFILE 岩佐まりさん 1983年、大阪生まれ。2002年にタレントとしてデビューし、現在はフリーアナウンサー、司会者、リボーターなどとして活躍。2009年に母親が若年性アルツハイマー型認知症を発症し、シングル介護をしている。2023年に出産、1歳児の母。 取材・文/酒井明子 写真提供/岩佐まり
酒井明子