レッドブルの今季マシンRB20、次世代2026年見据えた「大勝負」だったとチーフエンジニア
F1の2024年シーズンはレッドブルの快勝で始まった。彼らは昨年のチャンピオンマシンRB19からかなり大きくマシンを変化させてきて強さを発揮しているが、その進化は現行規則の中では「最後の大勝負」だったという。 【動画】レッドブルの”F1マシンに迫る速さ”のドローンを支える技術 レッドブルは2022年に導入されたマシン規定のもと、ライバルを圧倒する速さを発揮。2022、2023年と連覇してきた。2024年シーズンは昨年のチャンピオンマシンであるRB19を順当に進化させてくるものだと思われていたが、実際に彼らが投入したRB20はマシン全体に大きく手を加えた野心的なモノだった。 結果としてRB20は高いパフォーマンスを発揮し、開幕戦と第2戦でマックス・フェルスタッペンが連勝。セルジオ・ペレスも2戦連続2位という素晴らしい結果を残している。 レッドブルのチーフエンジニアであるポール・モナハンは、RB19からRB20にかけての変化は、再びレギュレーションの変わる2026年を見据えたものであり、現世代マシンでは“最後の大勝負”だったと語った。 「クルマに大きな変更を加えることを選べば、我々にとってはより多くの選択肢が広がってくるんだ」と、モナハンは言う。 「それこそが、我々が『もっと全面的に変更しよう』と言う理由の一部なんだ」 「おそらくこれが最後の大勝負になるだろう。2025年には2026年のクルマを考えなくてはいけないからね」 モナハンはチームが新世代となる2026年規定のマシンに向けてできるだけ早くスタートを切る必要があるため、2025年にリソースをどうやって分配していくかの決定が、間もなく下されるだろうと語った。 「我々が何らかの限界に達しているかどうかは、空力研究のかなり早い段階で分かってくるだろう。その時点で『よし、別の考え方ができるか、それとも何かを変える必要があるのか』と言う必要がある」 「来年に向けて、可能性をアンロックするためになにかを変える必要があるのか? しかしそれは今年のクルマには乗らないのではないか? それがおそらく今から分かり始めるだろう」 「問題は、来年に向けてより大きな変化が実行可能なのか、現実的なのか、財政的に達成可能なのかどうか? そしてそれを実行するためのリソースが我々にあるのかどうかだ。それはこれから分かってくることだ」 またモナハンはRB20の初期段階の分析では、まだマシンに改良の余地が十分に残されていると主張する。彼の言葉が本当なら、ライバルが追いつくのはさらに難しくなってくるだろう。 「今のところ、ゲインはまだある」 「大きさ的には、昨年と同じような上がり幅を見つけることができる。シーズン終盤に向けて、その幅は少し減るかもしれないが、我々には素晴らしい創造的なスタッフがいるため、彼らが見つけたものがあれば、それを使っていく。とてもシンプルなことだ」 なおモナハンはRB20の変化のうち、外見的に目立つサイドポッドやエンジンカバーの溝などは、一部で言われているほど急進的なモノではないと語った。 「視覚的な進化の大きさが、我々のラップタイム面で達成したことを必ずしも示しているわけではない」 「安定させなければならないんだ。あるサーキットのある局面で示す挙動が、他では示されないといった、ピーキーなクルマは良くない。昨年は非常にいい車だったが、そこから大きく離れてリスクを冒すのは、賢明な選択ではないと私は考えている」 「昨年の我々の進化でいいんだ。相手よりも速く走り続けられるために十分なモノを持ち込めば、それが正しいことだ」
Jonathan Noble