「大人の街」東京・日本橋にZ世代を呼び込め…地下道「路上ライブ」企画、スター誕生に期待
江戸時代に芸能文化の拠点として栄えた東京都中央区・日本橋で、地下道を路上ライブ会場にしてにぎわいを創出する取り組みが進められている。周辺で大規模再開発が進む中、音楽が流れる居心地の良い空間をつくり、若者世代の来街者を取り込む狙いがある。ライブの出演希望者も続々と集まっており、日本橋から明日のスターが誕生する日は近いかもしれない。(石坂麻子) 【図】ヒントは日本橋…箱根路の往路と復路でコースが異なる区間はどこか
11月14日夕、日本橋室町の地下道に、ザ・ブルーハーツの代表曲「TRAIN―TRAIN」や、フォークミュージックのオリジナル曲を歌う声が響き、道行く人ら約20人が足を止めて聞き入っていた。ギターを奏でながら柔らかな歌声を響かせたアマチュアシンガーのはしもとねねさん(22)は、曲の合間に「日本橋は初めて来たけれど、大人の街ですね」と話した。
取り組みは、イベント会社「スパート」や三井不動産が10月末、試験的に始めた。「日本橋 Music Liver」と題し、若者に人気の高いアマチュアアーティストを招待。年始を除く毎週木曜日の午後5時半から午後8時まで、東京メトロ三越前駅に直結する地下道で路上ライブを行っている。ライブの様子はSNSで動画配信し、反響やにぎわいなどの成果を検証した上で来春から本格実施する予定という。
日本銀行本店本館や三越日本橋本店など国指定重要文化財が点在する日本橋。歴史の薫りが漂う街並みが魅力だが、来街者の年齢層は他の繁華街に比べて高めだ。若い世代を呼び込む方策として、考え出されたのがライブだった。
三井不動産などで作る街づくり団体「日本橋室町エリアマネジメント」の担当者は、「Z世代(10歳代半ばから20歳代後半)の若者のSNSの発信力に期待している。音楽やアートなどから、日本橋の街の魅力をみつけてもらえれば」と話す。
アーティストに活躍の場を提供し、「日本橋発」のスターを生み出す狙いもある。
ライブを行う場所はすでに警察の道路使用許可などを得ており、アーティスト側は煩雑な手続きをすることなく路上ライブが可能だ。ビジネス街のため酔客に絡まれるなどの心配も少なく、安心して出演できるメリットもあるという。