IT駆使して調査法模索 ウバメガシどこにどれだけ、和歌山県みなべの協力隊
和歌山県みなべ町の特産品「紀州備長炭」の原木であるウバメガシが減少しているといわれる中、みなべ川森林組合で働く地域おこし協力隊の梅田進太郎さん(30)は、ドローンや人工知能(AI)などIT技術を駆使し、町内の山のどこに、どれだけウバメガシがあるのかを効率的に調べる方法を模索している。検証がうまく進めば、数カ月後には運用を始められそうだという。 【「紀南の高校と梅研究を」 和歌山市にサテライト、梅博士の宇都宮氏の記事はこちら】 ドローンの自動飛行で、町内の山の写真を上空から数秒間隔で連続撮影する。バッテリーの関係から1回の飛行は約30分で、約10ヘクタールを撮影することができるという。 撮影した写真は1飛行ごとにつなぎ合わせて1枚の大きな画像にして保存している。 現在、梅田さんはドローンでの撮影と並行し、画像内の樹木からウバメガシを識別できるよう、AIに学習させているところだ。AIが識別できるようになれば、ドローンで撮影した画像を地形図と重ね合わせることで、ウバメガシがどこにどれだけあるのかが一目で分かるようになるという。 町内の山林面積は約8千ヘクタールで、このうち約半分をスギやヒノキの人工林が占めている。梅田さんが調査対象にするのは、それ以外の広葉樹林。県が作成・管理している森林簿の情報をGIS(地理情報システム)で分析し、ウバメガシが生えていそうな区画を絞り込んで調査を進める予定。 町の紀州備長炭の生産量は、2005年度には507トンあったが、22年度は107トンと、年々減少している。ウバメガシの入手が難しくなったことが要因の一つであり、ウバメガシを搬出しやすい林道から近い所ほど、切り出せる状態のウバメガシがないという。 一方、林道や作業道が通っていない山中にどれだけウバメガシがあるのかは、正確には分かっていないのが現状だ。 梅田さんは「ウバメガシがどこにどれだけあるのかを把握できれば、作業道を造る費用を考えても利益を出せるかどうかの判断ができる。利益の出ない場所であっても、紀州備長炭を守り続けるために道を造るかどうか検討することもできるようになる。そうした判断材料になるものを作りたい」と話している。
紀伊民報