逗子・神武寺所蔵の十一面観音像を市重文指定 運慶らの系譜継ぐ仏師作か
神奈川県逗子市教育委員会は23日、神武寺(同市沼間)に所蔵されている「木造十一面観音菩薩坐(ぼさつざ)像」を市重要文化財に指定した。鎌倉時代末期、運慶らの系譜を継ぐ仏師の作品と考えられ、保存状態も良好で約700年前の姿をほぼ完全な形で残している。市重文は23件目となる。 十一面観音像は高さ55センチで、頭部の上に髪のように10面の観音の顔が並んでいる。11面の顔であらゆる方向を見渡し人々を苦しみから救ったと信仰され、美しい顔立ちやキレのある衣装の削り出しなどから14世紀前半に「慶派」の仏師が彫ったと考えられている。 神仏を融合した本地垂迹(ほんじすいじゃく)説から江戸時代には荏柄(えがら)天神社(鎌倉市二階堂)に天神坐像とともにまつられていたが、明治時代の神仏分離で神武寺に移されたと伝わっている。現在は境内の客殿に安置され、一般公開はされていないという。 神武寺は724年に聖武天皇の命で開創されたとされ、11月18~24日に開創1300年記念大開帳として十一面観音像も公開される。
神奈川新聞社