老後に猫を飼いたい、でも私が死んだら… 「もしも」に備えた新支援「ペットヘルパー」 ねこから目線。の現場から
「田中さん、こんにちはー!」。ねこから目線。のペットヘルパースタッフが、高齢者のお宅に月1回の定期訪問に訪れました。「田中さんも、ニャーちゃんもお変わりないですか?」「ええ、元気ですよ。でもニャーちゃん爪が伸びてきたみたい」「では今日は、猫トイレ丸洗いに加えて、爪切りもしておきますね」。猫さんだけでなく飼い主さんの様子も確認し、次の訪問の約束をします。
飼えなくなってから初めて関わるのではなく、早い段階から関わりを持たせていただくことで、もし飼い主さんが1人暮らしが難しくなって老人ホームを探し始めることになっても、探し始める段階で状況を把握できます。猫さんが飼い主さんと暮らしている間に、里親譲渡仲介のサポートを行うことができます。また、ペットヘルパースタッフが猫さんの性格や病歴を把握しているので、里親希望者さんとのやり取りもスムーズに行うことができるはずです。
ヘルパーサービスの利用などを条件に、猫さんを飼いたい高齢者に提携シェルターの保護猫さんをマッチングし、譲渡を支援する「飼い始める支援(保護猫譲渡仲介サービス)」も始めました。譲渡後に飼育が困難になれば譲渡元による引き取りを保証し、万が一の場合も猫さんの行き場がなくならないようにしています。
この取り組みは、いち早く高齢者とペットの問題を社会課題として認識していた京都市との協働事業という形で、令和5年2月~8月に市内限定で実証実験を行いました。6年の冬からは地域に関係なく、提供できるサービスとして再リリース予定です。
高齢者とペットが安心して豊かに暮らせるように、ペット信託や遺言、保険や互助会など、全国でさまざまな取り組みが始まっています。ねこから目線。もまだまだ試行錯誤の段階ですが、考え続け、行動し続けていきたいと思います。
大阪を拠点に、猫にメリットがあると思えることなら何でもお手伝いする「猫の便利屋さん」を営む小池英梨子さん。ネコの目線で取り組む活動から見えるあれこれを、月1回つづってもらいます。