大阪府・松井知事が定例会見2月16日(全文1)平成30年度当初予算について
2025年万博について
2025年万博については11月の決定に向け、総合的、効率的、効果的な誘致活動を推進し、開催を勝ち取ります。国と連携をし、機動的、戦略的に海外誘致活動を展開するとともに、他国を圧倒する機運醸成を図ります。海外誘致活動では各種国際会議の機会を活用した全方位的な働き掛けに加え、ターゲットとなる国に対するきめ細やかなアプローチ。6月と11月のBIE総会におけるプロモーションを展開します。国内機運醸成では経済界、議会などと連携し、開催機運を全国に拡大していきます。 万博のビジョンである、いのち輝く未来社会の実現に向け、オール大阪で会議を設置します。万博のインパクトを生かし、生き生きと長生き、長く活躍できる、10歳若返りを目指します。持続的経済成長のエンジンとなる成長型IRの実現に向け、事業者公募や区域認定申請に向けた検討を行うとともに、府民への理解促進を図ります。またギャンブル等依存症対策については高校生向けの予防啓発や全国に先駆け依存症対策研究会を設置するなど、依存症対策のトップランナーを目指します。ギャンブルに加え、薬物・アルコール依存症の対策についても総合的に取り組み、関連機関、民間団体のネットワークを通じて、相談・支援体制を強化いたします。
大阪府が目指す方向性
大阪府が目指す方向性の1点目はイノベーションの創出です。大阪の強みであります、ライフサイエンス、物づくりの集積を生かしながら健康医療関連産業などの産業分野で第4次産業革命の技術を生かしたイノベーションを創出します。再生医療をベースとした中之島の未来医療国際拠点や健康医療をコンセプトとした北大阪健康医療都市の形成に向けた取り組みを推進します。生産性向上、イノベーション創出については中小企業経営者の高齢化を受け、事業継承相談デスクを設置するなど、他の支援機関とも連携をしながら、円滑な事業の承継を支援いたします。府内中小企業の生産性向上を図るために、技術開発助成金にIoTなどの第4次産業革命枠を創設します。また大阪府立大学については大阪市立大学との法人統合に向けた準備を進め、大阪産業技術研究所とともに都市の知的インフラとして、大阪の産業競争力を強化、貢献し、中小企業の技術革新をサポートいたします。 2点目は世界に誇れる都市空間の創造、都市魅力の創出・発信です。国内外から人を呼び込むためにインフラ整備などにより世界に誇れる都市空間の創造を目指すとともに、都市魅力の創出・発信の強化を図ります。インフラ整備では、新大阪や大阪都心部と関西空港、大阪南部地域のアクセスを強化する、なにわ筋線の調査、設計などに着手します。うめきたについては2027年春の基盤整備、全体の完成を目指し、土地区画整理や公園整備とともにうめきた新駅の整備を推進します。 成長を支える広域ネットワークとして、淀川左岸線延伸部、北大阪急行延伸、大阪モノレール延伸を進めます。都市魅力のエンターテインメントではナイトカルチャーの発掘、創出。水と光のまちづくりなど、都市魅力を創造する取り組みを進めます。大阪マラソンについては平成21年度の第9回大会から都市中心部をゴールとするコースを変更することを検討するため、新コースに係る道路調査を実施いたします。スポーツでは2019年ラグビーワールドカップ、2020年東京オリンピック・パラリンピックに関連した取り組みを進めてまいります。百舌鳥・古市古墳群は2019年世界文化遺産登録を目指し、この秋に予定されている、ICOMOSの現地調査などに対応いたします。 旅行者の受け入れ環境では1000万人を突破した来阪外国人が安全で安心して滞在できるように体制を整備するとともに、インバウンドの好影響が府内各地に広がるように取り組みを進めます。具体的には宿泊税を活用したトラベルサービスセンターの運営や、大阪ストーリープロジェクトを展開します。また災害発生時に市町村が多言語支援を円滑に実施できるように府内に在住する外国人のコミュニティーと市町村のネットワークを構築することにより、災害時多言語ボランティアの確保を図ります。 アジアの成長を取り込む、では、企業の海外展開を支援する大阪ビジネスサポートデスクをアジアに集中するほか、2025年の万博を見据え、先端産業分野などの海外支援、海外展開を支援いたします。 3点目は多様な人材の育成・活躍です。人口の減少と産業の構造の変化に対応して、人材力強化を図るために、教育や子育てしやすい環境の整備などを通じて、次代の大阪を担う多様な人材が育ち、暮らし、活躍する大阪を実現いたします。次代の大阪を担う人づくりでは、学力・体力向上に取り組んでまいります。また、高校の教育力向上に向け、私立高校生などへの授業料支援などを継続するとともに、府立高校の中退者を減少させるために、スクール・ソーシャル・ワーカーの配置や、NPOなどとの連携による居場所づくりを進めるなど、課題を抱える子供たちを支援します。グローバル人材の育成のために、高校生の海外進学支援や、実践的な英語体験活動を推進いたします。 次に、若者が将来に希望を持てる大阪では、OSAKAしごとフィールドを通じた、女性や若者などの就職支援や、若年層を対象としたライフ・デザイン・セミナーなどを通じた女性活躍を進めてまいります。子育て支援では、保育士の確保を図るために、保育士試験において特区制度を活用し、全国で初めて実地試験による通常試験と、保育実技講習会による地域限定試験を同時に実施いたします。就職を希望する精神・発達障害者の雇用を促進するために、企業の人事担当者向け研修や、企業と障害者のマッチング、職場体験を実施します。 4点目は、安全・危機管・セーフティネットです。災害から府民の命を守り、被害を軽減するために、危機管理機能を強化するともに、治安対策も着実に進めてまいります。府民の健康増進に取り組むとともに、セーフティネットの充実を推進します。防災については、南海トラフ巨大地震に備え、防潮堤の液状化対策を進め、来年度で津波を直接防御する、第一線防潮堤などの対策を完了いたします。風水害の際、適切な避難行動が取ることができるように、浸水被害想定図の策定や、水位計の設置を進めてまいります。 耐震では、これまでの木造住宅などに加え、新たに分譲マンションの耐震化の補助を実施いたします。治安では、警察活動の拠点となる警察署の建て替えを進めるとともに、特殊詐欺への対策、民間とも連携した性犯罪、性暴力被害者への支援を行います。医療供給体制では団塊の世代が全員、後期高齢者となる2025年を見据え、回復期病床の確保や、24時間往診体制の整備などの取り組みを進めます。また、大阪安全基盤研究所については、府市研究所の統合効果を最大限に発揮し、西日本を代表する地方衛生研究所にふさわしい機能を備えるために、一元施設の整備を進めてまいります。 府民の健康寿命の延伸では、インセンティブを活用した健康づくりや、ライフステージに応じた啓発など、府民の健康づくり、意識向上の取り組みを進めます。がん予防、早期発見を大阪国際がんセンターをはじめとする、がん拠点病院におけるがん医療の充実、大阪重粒子線センターで治療を受ける府民を支援する、利子補給制度の創設など、患者支援の充実に重点化を、重点的に取り組みます。 また、持続可能な社会を目指し、食品ロス削減対策も推進いたします。事業者の取り組みについて実態調査を行った上で、効果的な方策を検討、実施するとともに、府内統一キャンペーンを展開いたします。子供の貧困については昨年の実態調査の結果を踏まえ、新たに緊急対策事業費補助金を創設をし、セーフティネットの構築などに取り組む市町村を支援いたします。児童虐待については、引き続き市町村や民間と連携し、対策を進めていきます。 誰もが活躍できる社会では、発達障害者に対する切れ目ない支援、障害者差別の解消の取り組みなどを通じて障害者支援を進めます。今後不足が見込まれる介護・福祉人材については、量と質の両輪の確保を目指し、介護職のイメージアップのための広報戦略の展開や、職場での定着支援、雇用環境改善のための介護ロボット導入を進めてまいります。 最後に副首都・大阪で、大阪の確立です。昨年3月に副首都ビジョンを策定して以降、機能面では淀川左岸線延伸部などの事業化や、大阪産業技術研究所の創設など、制度面では新たな大都市制度の実現に向けた動き、INPIT-KANSAIの開設など、この1年でさまざまな取り組みが進んできております。副首都・大阪にふさわしい大都市制度については、広域機能の強化、基礎自治体、基礎自治機能の充実に向けた制度案作りを進め、特別区制度については協定書作成に向け、協議会や府市両議会において、ご議論をいただきたいと、こう思っております。僕からは以上です。 【連載】大阪府・松井一郎知事が定例会見2018年2月16日 全文2へ続く