「没後50年 福田平八郎」大阪中之島美術館で3月9日から開催。関西で17年ぶり、大阪初の大回顧展
重要文化財《漣》などの代表作を含む、初期から晩年までの120点以上の作品を展示
日本画家・福田平八郎の没後50年の節目を記念した大規模な回顧展「没後50年 福田平八郎」が、大阪中之島美術館で開催される。会期は、3月9日~5月6日。 大分市に生まれ、大正から昭和にかけて京都で活躍した画家・福田平八郎。近代日本画の新境地を拓いたとされる重要文化財《漣》をはじめ、色や形、視点や構成に工夫を凝らした数々の作品を発表し独自の芸術を確立した。関西で17年ぶり、大阪の美術館では初の回顧展となる本展では、初期から晩年まで画業を一望する120点以上の作品が一堂に展示される。 見どころは、近年修復が完了した《雲》。本作は作品を所蔵する大分県立美術館以外で初公開。夏の青空に立ち上る真っ白な入道雲は、一見グラフィックのように見えながら、微妙に異なる色面により構成されている。 重要文化財《漣》は、絵が誕生した経緯や幾度も追究した「水」の表現に注目し、関連作品や素描、下絵を特集して展示される。琵琶湖の湖北で釣りをしていた福田が水面が微風によって漣をたてる美しい動きに気がつき着想したという《漣》。水面のスケッチを収めた写生帖には、ハガキの中央部分をくり抜いた手製の枠が挟まれ、トリミングに試行錯誤する様子も伺える。
平八郎の作品には、場面を巧妙にトリミングしたものがたくさんあります。近年スマートフォン等で写真撮影は広く浸透し、誰しもがトリミングを日常的に行っています。今の時代に平八郎の作品を見ることで、構図の斬新さや色彩の美しさ、背景処理の仕方など、身近に感じてもらえるのではないかと思います。自然と直感的に向き合い、そこから必要な要素を絞り込み画面に表現する平八郎の美の世界観は、現代においても新鮮な印象を与えるのではないかと考えています。(プレスリリースより、担当学芸員コメント)
モダンでカラフルで、研ぎ澄まされていながら、チャーミングで親しみやすい福田の作品。現代の私たちにも新鮮な驚きと感動を与えてくれるはずだ。
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