あれから1年 時間は止まったまま 癒えない悲しみ抱え遺族は…
輪島市で倒壊した7階建のビルに店舗兼自宅が押しつぶされ、妻と長女を失った楠健二さん。 楠 健二 さん: 「自分の娘、大好きな女房がいるのに出せない、こんな悲しいことないよ、耐えられないよね。頭おかしくなるよ」 ビルの公費解体が進む現場に、現在暮らす神奈川県から車で8時間かけて訪れました。 楠 健二 さん: 「ああ、こうやって無くなっていくんだなと思って。当然、忘れ去られるんだなっていうのが、やっぱり、そこは感じたよね」 線香をあげ、心の中で2人に声を掛けました。 楠 健二 さん: 「あの日からずっと今日の今日まで。当然謝ることしかできないので、女房にはね、苦しめてごめんねって言うし、娘には命があって、俺との会話もしてたのに。助けて、絶対助けてやるからなとは言ったのに、助けてあげられなかった。だからごめんねって言うしかないね。悲しみとあれを抱えながら生きていくしかないんで。もうただそれだけです」
地震のあと、大規模な土砂崩れが発生した輪島市市ノ瀬町。 垣地 弘明 さん: 「3日の現場行って、誰もいないんですけど、現場行って、弟の名前叫んで何回も叫んで、でも返答がない」 垣地弘明さんの弟・英次さんが行方不明に… 豪雨などで中断をはさみながら捜索は続けられ、11月に英次さんの遺体が見つかりました。 元日。垣地さんは自宅の跡地で、花を手向け、黙とうをささげました。 垣地 弘明 さん: 「遺族としても二人きりの兄弟だけだったので、僕が責任もってずっと弔っていきたいなというふうに思います。できる限り体が動く範囲でね、先祖、お袋も、お墓も土の中に埋まったままですけれども、その辺も守っていきたいなというふうに思っております」
珠洲に帰省中、地震で妻と3人の子どもを失った大間圭介さん。 大間 圭介 さん: 「怖かったね...寒かったね。すぐに助けてあげたかった」 地震後、初めて土砂崩れが起きた妻の実家を訪れました。 大間 圭介 さん: 「この1年というタイミングで、 来なくてはいけないのかなという思いもあったから来たというのもあります。亡くなった家族と一緒に過ごしてきた1年だったかなと思います。家族に生かしてもらったのかなという思いが強いので残りの人生、家族の分まで家族のやりたかったことをしてあげられたらなと」 去年は、未曾有の災害に相次いで見舞われた石川県内。それぞれの願いを胸に…新たな1年が始まりました。