【熱中症】車内の温度、エアコン停止後20分で40度超 子どもの閉じ込めによる搬送事案も 「大人の感覚で車内に放置すると重大事故に」
ようやく梅雨入りし、暑さはやや落ち着いてきたが懸念されるのが熱中症だ。特に車内への閉じ込めにより子どもが熱中症になる危険性が高まっている。梅雨入り前の晴天で車内温度を測ったところ、エアコン停止後20分で40度を超えた。直近でも米子市内で軽自動車に閉じ込められた2歳の女児が救急搬送される事案が起きており、関係機関が警戒を呼びかけている。 【グラフ】エアコン停止後の車内温度の変化
救助事案は11日午前8時半ごろ、米子市内の集合住宅の駐車場で発生。駆けつけた救助隊が車の窓を割って女児を助けだし、事なきを得た。車内に鍵を残した状態で外から施錠する「インロック」状態だった。 JAFによると、山陰両県では2023年度、子どもの車内閉じ込めが55件発生。いずれも電波でドアの解錠やエンジンの始動ができる「スマートキー」を採用した車で起きている。通常はインロックを防止する機能があるが、スマートキーの電池消耗で起きたり、車内に残した子どもが操作したりして施錠する場合がある。JAF鳥取支部推進課の為広光章課長は「車の鍵は肌身離さず持ち歩くことが重要だ」と指摘する。 車内はどれだけ暑くなるのか。最高気温30・9度の真夏日だった14日、米子市内の屋外駐車場で調べた。 銀色に塗装された乗用車の助手席と後部座席、後部の足元の3カ所に温度計を設置。設定温度を最低、風力を最大にしたエアコンを30分間稼働させた後、午後2時40分にエンジンを止め、同5時40分までの3時間計測した。
直射日光が当たる助手席が最も暑く、記録開始時の30・3度が20分後に40・6度になり、50分後の45・3度をピークに終了時まで40度以上だった。後部座席は50分経過で40度を超え、後部の足元は2時間後の37・9度をピークに40度以下で推移した。 午後3時と同4時の気温はともに29・6度、同5時は28・6度で、車内は気温より最大で15・7度高くなった。 子どもの熱中症に詳しい名古屋工業大の平田晃正教授(公衆衛生工学)によると、幼い子どもは大人に比べて深部体温が上がりやすく、同じ気温40度でも危険性は格段に高まる。20分以内の短時間でも脱水症状の恐れがあるとし「大人の感覚で車内に放置すると重大事故につながる。絶対に子どもを残さないよう徹底してほしい」と強調した。