クックFRB理事、利下げは「ある時点で」必要-時期は見通せず
(ブルームバーグ): 米連邦準備制度理事会(FRB)のクック理事は、「ある時点で」利下げを行うのが適切だろうと述べた。インフレは今年徐々に改善し、2025年にはより急激に鈍化するとの見通しも示した。
クック理事は25日、エコノミック・クラブ・オブ・ニューヨークでの講演で、「インフレが大幅に改善し、労働市場が徐々に冷え込む状況では、経済の健全なバランスを維持するために政策の抑制度合いを緩和することが、ある時点で適切となるだろう」と述べた。
「そうした調整のタイミングは、経済データの推移と、それが景気見通しとリスクバランスに対して示唆するもの次第となる」と付け加えた。発言内容は事前原稿に基づく。
クック理事は3カ月と6カ月のインフレ率は「起伏のある道筋」を進み、前月比のデータは23年下期(7-12月)に見られた「良好な」数字と類似したものになると予測。ただ前年同期比ではほぼ横ばいになるとの見方を示した。
「その先の来年はインフレ率がより急激に鈍化する」とし、「住宅に関するサービスのインフレ率は新規契約の賃料に関するこれまでの鈍化を反映して減速し、コアの物品インフレ率は引き続き小幅な低下となり、住宅を除くサービスのコアインフレ率は時間の経過とともに緩和するとみている」と指摘した。
また高金利が総需要に下押し圧力をかけており、金融政策は景気抑制的だとの認識を示した。延滞率上昇は「経済全体にとってまだ懸念材料ではないが、注視する必要がある」と述べた。
労働市場については、新型コロナウイルスのパンデミック(世界的大流行)前とほぼ同じ状況にあるとし、「タイトだが過熱はしていない」とした。また昨年は雇用者数増加が誇張されたことがデータで示唆されており、今年もその傾向は続くかもしれないと語った。
講演後の質疑応答では、労働市場が「かなり急速に変化」しかねないリスクについて自身を含む当局者が「注視」しており、当局は対応する用意があると述べた。年内の利下げの可能性を問われると、データに左右されると答え、明言を控えた。