出番は突然やってきた 山梨学院、急成長の2年生躍動 センバツ
◇センバツ高校野球2回戦(26日、甲子園) ◇○山梨学院4―0創志学園(岡山)● 【熱戦を写真特集で】創志学園ー山梨学院(2回戦) 誰が出場しても結果を残す層の厚さが際立った。前回王者の山梨学院は昨秋の公式戦であまり出場機会のなかった2年生が躍動した。 出番は突然やってきた。二回の守りで遊撃手・平野天斗(たかと)が負傷。代わって出場した2年生の岩城敦仁に、その裏の2死一、二塁の好機で打席が巡ってきた。 内心は「ドキドキしていた」。だが、ベンチの吉田洸二監督から「どんどん振っていけ」とスイングをするジェスチャーが出て、迷いは消えた。 「甘い球は絶対に逃さない」。カウント1―1から121キロの真ん中に入ってきた直球をコンパクトに振り抜き、中前にはじき返した。貴重な先制打となり、塁上で右拳を突き上げて喜んだ。昨秋の公式戦は終盤の守備での出場がほとんどで、打席は三振の1度だけ。「公式戦初安打」が大舞台となった。 投げては2戦連続の先発となった2年生の津島悠翔が七回途中まで3安打無失点と好投した。冬場に磨いた80キロ台のカーブの制球が抜群だった。春夏計4度の甲子園優勝を誇る創志学園の門馬敬治監督に「はまったというか、はめられた」とまで言わしめた。 昨秋の公式戦はわずか6イニング余りしか登板のなかった左腕の成長により、右腕・桜田隆誠につなげる必勝リレーを確立して安定した戦いを続ける。 岩城の帽子のつばの裏に書かれている言葉は「責任感」。選手たちはベンチ入りメンバーとして責任のあるプレーを心がけ、いつどこで出場してもいいように準備を怠らない。 頂点に立った前回大会からセンバツの連勝は「8」に伸び、2年連続の8強入り。頼もしい選手たちをたたえながら、吉田監督は「気の利いたコメントは言えないんですが、こういうことも長い監督生活であってもいいのかな」とほくほく顔だった。【村上正】