推定年俸5億円、34歳のF・トーレスは鳥栖にどんなメリットをもたらすのか?
次は所属したすべてのチームで誰からも愛されてきたトーレスの存在感が、サガンのチームメイトたちに与える波及効果だ。竹原社長が再び表情を綻ばせる。 「いまの順位は不本意ですが、クラブとしてのポテンシャルは決して悪くない。彼が来てくれることによって、他の選手たちがよりクオリティーやモチベーションを高め、一段高みを目指せる。チームの推進力を上げ、強いチームを作るトライアルをするためにも絶対に必要な選手でした」 最後は未来への投資だ。竹原社長は就任以来、育成組織の整備にも注力してきた。昨シーズンには2人の若手が初めてユースから昇格。さらなる組織の活性化を目指しているなかで、生きた教材となるトーレスが加入した。 「チャレンジしていくクラブであり続けるためのステップとして、プレーヤーとしてだけでなく人間的にも素晴らしい選手が目の前にいる。子どもたちが彼を目標にして、スポンジのように吸収していくことを夢見ている。トーレス選手に期待することは、多岐にわたります」 自らの一挙手一投足がサガンだけでなく、日本中の子どもたちにとっての羅針盤となることにもやりがいを感じたのだろう。竹原社長に呼応するように、トーレスもこんな言葉を残している。 「若い世代にできるだけのことを伝えたい。子どもたちに常に言ってきたのは、サッカーで大切なのは情熱と夢ということ。情熱や夢を教えることはできない。自分で見つけて、前へ進んでいってほしい」 Jリーグへの登録ウインドーが20日に開く関係で、最短出場はホームのベストアメニティスタジアムにベガルタ仙台を迎える22日の第17節になる。「来週末には何分でもいいから試合に出たい」と意気込むトーレスは、鳥栖入りする16日から歓迎イベントなどの合間を縫って始動する。 (文責・藤江直人/スポーツライター)