春場所千秋楽、昨日救急搬送された尊富士が歴史に残る110年ぶりの新入幕優勝を果たすか?1敗差の幕内2場所目の大の里が優勝するのか?
2024年3月10日、大阪府立体育会館(エディオンアリーナ大阪)で始まった大相撲大阪場所もいよいよ千秋楽。新入幕力士の歴史的快挙は見られるのか?『婦人公論』愛読者で相撲をこよなく愛する「しろぼしマーサ」が今場所もテレビ観戦記を綴ります。 * * * * * * * ◆予想もしなかった展開に 大相撲春場所は14日目の取組を終え、2敗となった新入幕の前頭17枚目・尊富士の単独トップに変わりがない。しかし、尊富士は、元大関で前頭筆頭・朝乃山に寄り切られて負けたうえに右足に怪我をしてしまい、車椅子で花道を帰り、その後、救急車で運ばれるという予想もしなかった展開になった。 1敗差の3敗で追うのは、幕内2場所目の前頭5枚目・大の里ただ1人である。 新入幕が優勝するのは1914年(大正3年)5月場所の両國(元関脇)以来110年ぶりで、大相撲史上に残る尊富士の偉業達成と優勝のゆくへは、千秋楽に持ち越された。 千秋楽の尊富士の対戦相手は前頭6枚目・豪ノ山、大の里は大関・豊昇龍と対戦する。 尊富士が無事に出場できるかも心配だ。 尊富士は初土俵から所要9場所で入幕となり、髪が伸びるのが間に合わず関取に許される大銀杏が結えず髷で、大の里も出世が早くて大銀杏が結えずざんばら髪で、幕内力士たちと対戦している。
◆尊富士の偉業 大銀杏の方々はどうしたかというと、尊富士の立ち合いからのスピードと圧力がすごくて、連日吹っ飛ばされていた。 尊富士は11連勝したが、12日目に大関・豊昇龍が気の強さと根性と運動神経を活かして、小手投げで破った。ところが豊昇龍は14日目にこの気の強さが裏目に出たようで、新大関・琴ノ若に豪快に上手投げをうつのに失敗して自ら呼び込んでしまい、自滅するように負けて4敗となり、優勝争いから脱落した。 13日目に勝ち越した朝乃山は、14日目に得意の右四つにもっていき、尊富士を寄り切った。14日目に尊富士が勝つか、豊昇龍と大の里が負ければ、尊富士の歴史的な初優勝となり、負けた力士の四股名が残る。 どの力士も尊富士と対戦するのは嫌ではないかと気の毒に思っていたが、朝乃山はお見事だった。いつもこの力を披露していただきたい。 朝乃山に大銀杏の意地を見せて欲しいと思う一方で、尊富士は新入幕での初優勝という110年ぶりの記録だけでなく、大相撲が15日制に定着した1949年(昭和24年)以来、新入幕の11連勝は昭和の大横綱・大鵬と並ぶ最長記録であるなどの新記録がある。 というわけで、14日目のNHKテレビの実況の佐藤洋之アナウンサーによる美声と高速活舌の尊富士の偉業を称える叫びを聞きたかった。さらに、正面解説の芝田山親方(元横綱・大乃国)の感動のお言葉も拝聴したかった。