電子部品大手7社、4~9月全社増収 通期営業益、4社が過去最高予想
電子部品メーカー主要7社の2024年4~9月期連結決算は、全社が前年同期比増収、営業利益も6社が増益となった。スマートフォン需要の回復やデータセンター市場の拡大、円安が各社の業績を押し上げた。通期でも5社が増収増益を計画し、4社が過去最高の営業利益計上を見込んでいる。 【関連写真】電子部品大手7社の4~9月期連結決算 ニデックは、売り上げ、営業利益が上期として過去最高を更新した。ニアラインサーバー向けを中心としたハードディスクドライブ(HDD)用モーターの回復や、AI(人工知能)サーバー向け水冷システム用の戦略的商材投入などが業績拡大をけん引した。 TDKは、ICT市場やデータセンター市場向け製品の販売増などにより増収増益となり、営業利益は過去最高を更新。為替の円安も業績拡大に大きく寄与した。磁気応用製品の売上高は、データセンター需要の回復を背景にHDD用ヘッドが大幅に伸長し、前年同期比33.6%増となった。通期予想を上方修正し、各利益予想も大幅に増額した。 村田製作所は、積層セラミックコンデンサー(MLCC)がAIサーバー関連の需要拡大を背景にコンピューター向けが増加したほか、モビリティーやスマホ向けのMLCCも増加。コンデンサー売り上げは13.9%増と大きく伸びた。 アルプスアルパインは、モバイル向けアクチュエーターや車載用検出スイッチなどが堅調に推移。円安も寄与し、上期売上高は過去最高となった。セグメント別売上高は、コンポーネント事業が18.2%増と全社業績をけん引した。 日東電工は、タブレット端末や中国メーカーのハイエンドスマホ向けに光学フィルムが増加。ハイエンドスマホ向け高精度基板なども増加し、売り上げ、営業利益ともに上期の過去最高を更新した。 一方、下期の市場見通しは、やや慎重な見方も強い。上期に低調だったFA・設備投資関連の部品需要は、下期も顧客在庫調整の継続により、軟調な状況が続く見通し。上期に好調だったスマホ関連の部品需要は、例年と比べてユーザーの部品取り込み時期がやや前倒し気味で推移していたことから、「10~12月に反動が出るリスクもある」(大手部品メーカー)との観測もある。 車載は、欧米や日本での新車需要減退や電気自動車(EV)市場の減速、中国やASEANでの日系自動車メーカーの市場シェア低下の影響などが懸念されている。さらに、中国製EVを起点とした価格競争の強まりも不透明な要因となっている。 このため、決算発表時に通期の売り上げや営業利益の見通しを上方修正した企業は2社にとどまり、下期の業績予想を実質的に下方修正した企業もみられる。 それでも、通期の業績予想は6社が増収営業増益を計画している。ニデック、ミネベアミツミ、日東電工の3社は売上高、営業利益ともに過去最高を計画。TDKも過去最高の営業利益を見込む。
電波新聞社 報道本部